BioShock
- PlayStation 3/Xbox 360
- 2008年12月25日/2008年2月21日
CERO「D」(17歳以上対象)のゲームです。PS4の「BioShock: The Collection」はCERO「Z」(18歳以上対象)です。 CERO「D」のゲームは「Life is Strange」のようなものから「バイオハザード」といったものまで幅が広いです。CERO「D」に対してグロいとか気味悪いといったイメージはないかもしれないのですが、BioShock はプレイヤーによっては映像や雰囲気などに不安を感じる可能性もあるので注意が必要です。
BioShock の何がショックだったかというと、自分にはリトルシスターを殺すことができなかったということ。 "ゲームはゲームだと思っている" と思っていました。ストーリーや世界感に没入したりキャラクターに感情移入したり色々な体験がありますが、ゲームなんだと。 あるキャラクターを殺すか殺さないかといった判断をするとき、罪悪感や後悔や迷いを感じるとしても、それは現実ではなくゲームプレイの中でのことで、基本的にそのあとのプレイにどう影響するかを考えているからだと思っていました。殺さずに仲間にするとバトルが楽になるとか強い装備を手に入れることができるとか。 でも、自分はそうじゃなかったんだと気付きました。
"HARVEST" というのは凄く慎重に判断して決めた表現なんだろうなと思いました。HARVEST を選ぶというのはリトルシスターを殺すということ。殺したとしても助けたとしても、主人公の強化に必要な ADAM という物質は手に入ります。 初めてリトルシスターと会って護衛のビッグダディを倒すと、リトルシスターは逃げ惑います。リトルシスターに近づいて行動をしないとゲームが進行しません。 画面には主人公が手に持っている武器が表示されていて目の前にはリトルシスターがいます。その絵の衝撃。自分は何をしているんだ、護衛がいなくなって何もできずに怖がっている幼い少女を前に、なんで武器持って立ってるんだ、ビッグダディは倒した、バトルは終わったんだ、この少女を殺すことはゲームではない、このゲームは一体何をさせる気なのか。さらに近づくと "HARVEST" と "RESCUE" を選択できるという説明の表示。そんなことはどうでもいいから主人公の武器を外させてくれ、手に持ったレンチを捨てさせてくれ、しゃがんで優しく話しかけさせてくれ。 この胸の苦しみを消し去りたい。 □HARVEST、△RESCUE 。 アホかと、バカかと、□ボタン押すわけないだろと。真剣にそう思いました。リトルシスターの生死はゲーム側が勝手に決めてくれるものと思っていたわけです。 完全に油断していた自分に突きつけられた選択。冷静になったあと、HARVEST するとどうなるのかという想像をしてみるのですが無理。RESCUE しました。 救出されたリトルシスターはお礼を言って走り出し、隠し通路みたいなところに入っていきます。
初めてリトルシスターと会ったときは本当につらかったのですが結局はゲーム。胸がギュッと苦しくなるのは変わらないですが、助けることができると分かれば安心してプレイできます。 ビッグダディといるときに何か話しかけているのですが、ついて回って何を話しているのか聞いてみたり、助けたあとで隠し通路に入っていくまで見守ったり。 何人か助けるごとにプレゼントをもらえます。主人公を強化させるための装置があるのですが、その装置の前にクマのぬいぐるみと一緒に置いてあります。あぁ、なんてかわいいんだろう、と思ってしまいます。実際にはリトルシスターたちの面倒を見ている女性からのプレゼントですが。 運がいいとリトルシスターがぬいぐるみを置いて走り去る姿を見ることができます。
ゲームプレイですが、一人称視点のアクションRPGという感じです。クリアまでの時間は20時間ほどかなと思います。FPS系に慣れていれば12時間くらいでクリアできるかもしれません。 武器は銃が基本になりますがレンチで殴るという近接攻撃が1つだけあります。火や電気で攻撃したり囮を設置したりという特殊能力も使えます。弾薬は落ちているのを拾ったり倒した敵から入手したりします。お金があれば自動販売機からも購入できます。 主人公の能力を上げることで色々な戦いかたができます。ハッキング関係を強化して監視カメラを味方にすれば勝手に敵を倒してくれるので、探索して回ったあとで監視カメラのあるエリアに戻って、倒れている敵からアイテムを手に入れることもできます。敵に気付かれにくくなる能力を上げて背後からレンチで殴って大ダメージとかもできます。自分に合った戦い方を見つけると楽しくなってくる感じです。 HPがゼロになってもペナルティはなくて、復活ポイントから再開できます。 敵は妙に活き活きとしています。会話をしていたりケンカをしていたり。ハッキングで味方にした監視カメラに見つかって、文句を言いながら戦っているのを見ていると申し訳なく思ったりもしました。不思議と愛着を感じます。
武器や能力の強化の効果が大きいので、FPS系ゲームに慣れているのであれば簡単だと思います。その場合は攻略するという楽しみが少なくなるので退屈に感じてしまうかもしれません。特殊能力で動きを止めてレンチで殴るという単純なものになってしまう可能性もあります。難易度NORMALだと中盤以降は弾薬などのアイテムが満タンで拾えないくらいになってきます。 FPS系ゲームをプレイしたことがない場合は、主人公が弱い序盤で苦労するかもしれません。あまりにも難しいときは、武器や能力の強化というRPGの要素を意識すると楽になると思います。銃と超能力を剣と魔法に置き換えて考えればRPGなプレイ感にできるので、あとは操作に慣れるだけになります。 ビッグダディが倒せないときは、死亡して再開しても敵に与えたダメージはそのままになっているという仕組みを利用すれば、死亡→突撃→死亡→突撃、を繰り返していつかは倒せます。それでも無理なら難易度を下げてしまえば問題ないと思います。
クリアしてみれば結局はゲームだったのですが、初めてリトルシスターと会ったときの感覚はハッキリと思い出せます。RESCUE という選択が表示されるまでは、ゲームだということを忘れてしまっていた気がします。 そして、ゲームだと思っていたこれまでの自分の感覚が、実は現実に自分がどういう行動を選ぶかってことのシミュレーションだったのではないかという不安も感じました。 BioShock をプレイしてからは、ゲーム内での体験は現実ではないけれど、嬉しいとか悲しいとかっていう感覚自体は本物なんじゃないか、と思うようになりました。