聖剣伝説2
- スーパーファミコン
- 1993年8月6日
"コンピューターは敵であり、そして強く賢い" というイメージを完全に消し去ってくれたゲーム。それが自分にとっての聖剣伝説2です。
今のゲームはNPCだとかAIだとかって言葉は当たり前な感じですが、昔はプレイヤーが動かしていないキャラのことを「コンピューター」なんて言ってました。そして、人間が操作するキャラは味方でコンピューターが操作しているキャラは敵という感覚でした。 やがてスーパーファミコンの時代となり、「ドラゴンクエストIV」と「ドラゴンクエストV」でコンピューターが味方を操作するというAIを体験し、そのキャラクターたちに愛着を感じている自分に気付きます。コンピューターは敵ではないと。そしてなんてアホなんだと。 その後、出会ってしまった聖剣伝説2。ドラクエのAIによるキャラクターたちの戦う姿は頭の中の想像だったのですが、このゲームはその戦う姿を見せてくれました。そして「こいつらアホだけどなんて可愛いんだろう」と、まるで人のように感じている自分に気付きます。 さらに時代は進み「FINAL FANTASY XV」。そのプレイ体験の中にあった "仲間と一緒に旅してる感じ" に気付いたとき、「これは……聖剣伝説2のもう1つの進化なのでは……」と思いました。そう言い切る自信がなかったので(というか今もないですが)FF15の感想には書かなかったのです。
ドラクエ4とドラクエ5でAIが操作するキャラクターに愛着を感じ、聖剣伝説2で戦う姿を見て人であるかのように感じ、FF15では仲間だと感じることができた。 FF15のNPCってプレイヤーが操作しているキャラであるノクトの前を走るんですよ。FF15はストーリーを進めるうえで強制的に通らされる道っていうのはなくて、どこをどう進もうが自由です。なのでNPCはプレイヤーがどこに行こうとしているのか分からないんです。それなのにノクトを追い抜いて前を走る。そして「あ、なんか釣りしたくなった」と急に違う方向に向かったとしてもそれに合わせて一緒に走り続ける。そのことに気付いて驚いたのは何十時間とプレイしたあとでした。 なんでFF15の感想になってんだという感じですが、つまりあれなんです。人のように感じる "敵" とか "住人" とかは海外のFPSやRPGなどがありますが、それじゃ人のように感じる "仲間" は? そう、自分の中では、その原点が聖剣伝説2なんです。
ゲームプレイですが、プレイ時間は20~30時間くらいじゃないかなと思います。 聖剣伝説2に限らず当時のゲームはだいたいそうなんですが、ゲームプレイについて微妙な分かりにくさがあります。説明書の熟読だけでなく、ある程度の攻略情報が必要な感じです。 公式サイトには「当時まったく新しいシステム「モーションバトル」を取り入れて……コマンドバトルの戦略性をリアルタイムかつシームレスに」という説明があります。これが全くその通りで、FFのアクティブタイムバトルをアクション風にした感じです。プレイ感としてはコマンドバトルだというくらいのイメージでプレイするほうがいいかもしれません。 また、慣れてしまえばボタンをポチポチ押しているだけになることも多いので、1人でプレイする場合は、AIが操作する仲間と一緒にボコスカ殴ってる姿を楽しむという意識も必要だと思います。 難易度についても「あれっ!?」と思ったことがあって、終盤で極端にザコ敵が強くなり、どう考えても防御力が足りない。それでラストダンジョンで結構長い時間レベル上げや熟練度上げをしていたのですが、倒したモンスターが強い防具を落とすことが分かりました。その防具っていうのがお店で買える最高防具の2倍近い防御力で、それを装備してやっと普通の難易度って感じになるんです。防具を落とすかどうかは運によるのですが、もし入手できなかったらどうなるんだろうって思いました。
聖剣伝説2をプレイしていて感じたのは、自分のゲームプレイが "仲間キャラの行動に引っ張られる" ということです。例えば、プレイヤーである自分はモンスターと戦わずにスルーしたいと思っていても仲間は戦っていたりします。そして、うーん……と思いながらも一緒に戦ってしまいます。 仲間の行動というのはゲーム側によって決められたものであり、コンピューターによる計算の結果です。それなのに、その結果に対して「仲間は一生懸命に戦っている」という風に意思があると思ってしまいます。 そんな感じでプレイしているうちに、ゲームの一部である仲間たちがゲームの世界から飛び出して、プレイヤーである自分と一緒にゲームをプレイしているという不思議な感覚になりました。
今の時代だとNPCとかAIとかいうのは特に珍しいものではないと思います。プログラムとかゲームデザインとかの専門的なことについては分からないですが、プレイ体験については当時の聖剣伝説2を今プレイしても特に何も思わないかもしれません。ですが、NPCと一緒に数十時間の間マップを行き来して戦うというのは、当時は本当に不思議な体験でした。 自分が抱いている "仲間としてのNPC" のイメージは、ただフィールドを移動したいだけなのに、地形に引っかかってジタバタしている聖剣伝説2の仲間の姿が基準になっているのかもしれません。