Yonder:
The Cloud Catcher Chronicles
- Steam
- 2017年7月18日
Yonder の世界はプレイヤーを急かしません。行きたいところに行き、集めたいものを集め、好きなだけ探索する。 プレイに対する制限がほとんどないのと同時に、プレイに対する報酬もほとんどありません。攻略するというプレイ体験は得られないゲームです。 探索すること自体が目的となるような体験になるので、そこを楽しめるかどうかが重要になります。 プレイ時間はプレイスタイルによって大きく違います。ストーリーだけを追ってプレイした場合は20時間もかからないと思います。十分に楽しもうと思うなら30時間以上を目標にプレイするといい感じです。
木を切り倒したり動物を見つけたり吊り橋をかけて渡ったりと、色々な要素を通して Yonder の世界に触れることが出来るアドベンチャーです。 触れることはできるのですが、例えば、木を切ることによって探索が快適になるとか魅力的な報酬を得られるということはありません。そこに木があって切ることができるから切る、動物がいるから眺める、という感じになります。 動物たちは夜寝ているとか嫌いな季節には姿を見せないなど特徴に違いがあります。魚釣りも、明け方しか釣れない魚など細かな違いがあります。 逆に、生活をしている人々には朝起きて夜は寝るといった変化はありません。彼らの行動は一定です。会話によってクエストが発生したり探索に必要な情報を得たりできます。
ストーリーはありますが、探索していたらストーリーが進んでいた、という感じになります。ゲーム開始してフィールドを移動できるようになったら、いきなりストーリーを無視して探索しまくることもできます。 船に乗らないと行けないエリアはストーリーを進める必要がありますが、それ以外の場所は全て行けます。
ネコを見つけたりするという収集的な要素がいくつかありますが、それらに対する報酬らしいものはありません。 農場を作って作物を育てたり動物を飼ったりもできます。凄く単純な仕組みなので、お金の工面をしたり手間をかけて耕作したりする必要はないです。得られた収穫は物々交換で他のアイテムを入手するのに使うことになります。 農場は柵を設けたりプランターを設置したり街灯で照らしたりと色々できます。それらの配置もプレイヤーが自由に決めることができます。 探索を進めるとクラフトによるアイテムの作成もできるようになります。専用のクエストをクリアするとレシピを教えてくれます。農場をにぎやかに飾るものだったり可愛い服だったりだったりします。
収集も農場の運営もクラフトも、しっかりやらないとクリアできなかったり探索が厳しくなったりするということはありません。それらは探索の動機のための要素として機能しているため、探索が楽しいのであれば取り組む必要もありません。物々交換に必要な分も畑を2つほど作れば十分に確保できます。 やりたかったらやればいいし、集めたかったら集めればいい。プレイヤーは、探し回ることをゲームの側から要求されないし農場の運営に追われることもありません。ほとんど探索をしなくてもストーリーは簡単にクリアできます。逆にストーリーを進めなくても十分にフィールドを探索して回れます。 ゲームの中に用意されている要素を楽しむか楽しまないかはプレイヤーが自分で決めることになります。
ゲームプレイですが、「あそこに行きたいから行く、そこに山があるから登る」という体験になります。何かしら目的を達成するための探索ではなく、探索そのものが目的となる体験です。何か聞こえる、ハッとして立ち止まる、やっぱり聞こえるネコの鳴き声だ、そして辺りをウロウロと探し回ります。 釣りをしていたら凄く大きな魚影が見えて「なんだ今のデカいヤツは」と釣りを続けたり、農場をにぎやかにしたくて、ひたすらブルーベリーを収穫して物々交換でクラフト用のアイテムを手に入れるとかやってました。 「ストーリー……?」という感じのプレイになりますが、探索していたらストーリーが進んでいたという結果になります。
生活している人たちは行動も会話も単純です。そのため生きている感じがしないときがあります。人はいるけど無人のような気がするとか。 逆に、動物たちは凄く活き活きとしていてその世界に生きていると感じます。夜になると寝てしまう動物もいるのですが、近くを通って起こしてしまい申し訳なく思ったりします。
服装が結構フリーダムで地味に楽しいです。クラフトやクエストクリアなどで入手できます。 ガスマスクとかティアラとか 最終的には画像のようになると思います。
探索を楽しめるかどうかが重要なので「なんで探索してるんだろ」と疑問に思ってしまうと楽しめない感じです。農場とかも別に取り組まなくても何の問題もないため、そこを冷静に考えてしまうと退屈なゲームになってしまいます。 ストーリーのクリア = ゲームの終わりではなく、ストーリーも Yonder を楽しむための要素の1つというものになっています。 ストーリー完全無視も可能です。その場合は探索エリアが少し減って大工のクラフトだけできなくなりますが、農場に設置できるアイテムの種類が減るくらいなので十分に楽しめます。
ストーリー無視も含め、プレイに制限がない代わりにプレイに対する報酬もない。なんとなくシミュレーションのような感じです。Yonder の世界を体験するスローライフなシミュレーション。 何があるのか何ができるのか何をするのか、疑問を感じ冷静になってしまえば退屈になる。ゲームではなく、キャラクターを動かせる映像作品という感じになってしまいます。 探索することを目的として楽しさを感じることができるかどうか、ゲームの映像や雰囲気が好きかどうか、という人を選ぶゲームのような気がします。