RAGE 2

  • Steam/PlayStation 4/Xbox One
  • 2019年5月14日/2019年6月6日

CERO「Z」(18歳以上対象)のゲームでシングルプレイのFPSです。

RAGE2をアクションアドベンチャーとしてプレイすると、正直な感想として、それは退屈でありきたりなものになる。けれどもFPSとしてプレイすると、30分でもいいから「今日もプレイしたい」と思える。RAGE2は "RAGEではない" のだとしても、銃で狙って撃つということの楽しさに間違いはないと思う。 問題は値段。それに見合うプレイ体験を得られるかどうかはプレイヤー自身にかかっていて、プレイスタイルによっては高い買い物になってしまう可能性がある。もしかしたら、RAGEに対する思い入れが強いほど、その不満は大きくなるのかもしれない。

自分のRAGEに対する思い入れは少し複雑で、2つのタイトルが関係している。1つは前作「RAGE」、そしてもう1つは「MAD MAX」。MADMAXはそもそもFPSではないけれども、RAGEをプレイして感じた "車をもっと楽しみたい" という思いがMADMAXに向けられている。 RAGEには車を改造して敵の車と戦うという要素がある。これが凄く楽しくて夢中になれるのだけれども、割とすぐ終わってしまう。そして、REGEの約5年後に発売されたのがMADMAX。 MADMAXは車を改造して敵の車と戦うゲーム。体を張ってのアクションもあるけれども、プレイ体験の中心は車。車と車のぶつかり合い。これをプレイせずに自分はRAGEを好きだと言えるのかと思ってしまったくらい、自分にとってMADMAXはRAGEであり、MADMAXをプレイしてやっと、RAGEのプレイ体験が完了するのだと思えた。 そしてRAGE。"RAGE2はRAGEではない" となぜそんな表現をするかというと、RAGEは結構タクティカルなFPSで、距離による銃の選択、数的不利な状況でしっかり身を隠しながら相手の位置を確認する、そいういったプレイスタイルを求められる。ひたすら突進してきて殴りかかってくる敵にはショットガンが有効だし、多数の敵を早めに発見できるマップならアサルトライフルが強い。狭い室内で身を隠す相手ならリボルバーで確実に倒していく。戦術がどうとか通じないような相手なら、威力の高い銃弾を使いゴリ押していく。それらはゲーム内のヘルプなどで親切に教えてくれることはないけれども、何度もやり直しているうちに "適切な武器の選択と立ち回り" が身に付く。体力を回復できるアイテムを抱えて拳で戦うなんて結論に至ったこともある。

RAGE2をRAGEとして肩肘張ってプレイすると、間違いなくその難易度の低さに悩む。FPSに慣れているなら初めから難易度Hard、FPSが得意であればNightmareでいいと思う。 取りあえずアサルトライフルかショットガンのどちらかを撃ってれば倒せる。敵を倒すと体力を回復できるアイテムをドロップするし、回復アイテムを買うお金にも余裕がある。銃弾を入手できるコンテナもそこら中に置かれている。 そして気付く。RAGE2に難易度という感覚はない。敵をどう倒すかを楽しむスタイル。 敵を倒したときの手ごたえは "どことなく軽い" 感じがあるけれども、その軽さが不思議な気持ち良さになる。 手榴弾投げて突っ込んでショットガンを撃ってさらに突っ込んで殴る。身をさらし、アサルトライフルで弾をまき散らしながら特殊能力で翻弄する。いっそのことラン・アンド・ガンなスタイルはどうか。 どう戦うかはプレイヤーの自由。どう戦っても倒せる。特殊能力や武器のアンロックが面倒なら、アサルトライフル、ショットガン、ピストルの三種の神器で楽しめばいい。 RAGE2の、本当に不思議な気持ちよさ。倒すことの楽しみに気付くことができれば、同じようなマップ、同じようなミッションであっても、自分で戦いかたを決めて楽しむことができる。

RAGE2は "この状況ではこう戦う" というゲームではない。ゲーム側がそれを用意してくれていない。ストーリー用のマップでは若干のRAGEらしさを感じるけれども、RAGE2をRAGEとしてプレイするプレイヤーにとっては物足りないと思う。RAGE2を楽しむにはプレイスタイルを変える必要がある。そしてそこが最大のポイント。 RAGE2の主導権はプレイヤーにある。ゲーム側の用意した "仕組みに従って" プレイスタイルを決めるのではなく、ゲーム側の用意した "仕組みを利用して" プレイスタイルを楽しむ。RAGE2はRAGEのようなタクティカルなFPSではないし、DOOMのようなラン・アンド・ガンでもない。RAGE2は "サンドボックス系FPS" という、オープンワールドで伝統的なシングルプレイFPSが可能かどうかを判断するための、試金石みたいなゲームだと思う。 このサンドボックスなFPSを "自由だ" と感じるか "難易度調整の放棄" だと感じるか。それは、敵を倒すこと自体を楽しめるかどうか、目的もなく敵の拠点を荒らしまくることができるかどうかで違ってくる。

RAGE 2。「Wolfenstein: Youngblood」「ボーダーランズ3」「DOOM Eternal」そして「Cyberpunk 2077」と続くFPSラッシュの始まり的なタイトルでもあり、他のタイトルと比較してどうかという評価が難しい。過去作と比べるなら、RAGE2はRAGEではないしBulletstormのように倒し方によって報酬が決まるわけでもないしアクションアドベンチャーとしてはファークライで満足となる。 ボーダーランズ3とCyberpunk2077は間違いなくプレイすると思うので、それまでは深く考えるのを止めて、今日も、そして多分、明日も RAGE 2 をプレイする。