METAL GEAR SOLID V:
THE PHANTOM PAIN

  • PlayStation 4/PlayStation3/Xbox One/Xbox 360/Steam
  • 2015年9月2日(水)

ピースウォーカー以降、ずっと、THE BOSS以外の戦う理由みたいなのを探していました。続編が出たときに、自分がビッグボスを操作して戦う理由です。 「国に忠を尽くすか、私に忠を尽くすか。お前は戦士だ、お互いの忠を尽くせ」 これがビッグボスの戦う理由だと思ってました。でもピースウォーカーで (AIなんだとしても) THE BOSSは任務を放棄したように思えました。任務を遂行すること、戦うことが忠だと思ってたんですけど、それを言った本人 (AIなんですけど) が違うことをしてしまったって感じました。 それじゃ、ビッグボスがピースウォーカー以降、戦う理由ってなんだろうって。もしかしてビデオゲームとして成り立ってれば良い感じ?理由とかない?って思ったりもしました。そもそもジャックの基準ってTHE BOSSじゃなかったのかな、とか。

それでMGS5をプレイしてたんですけど、「今日から俺はBIG BOSSだ」ってセリフを思い出していたんです (MGS5のセリフではないです) 。あれって、自分が仲間たちの基準になる、仲間たちの忠になるってことだったのかなと思いました。 序盤でビッグボスが「何をすればいい」とカズに問いかけます。そしてダイアモンド・ドッグズとして復讐に動く。組織なんです。 それまではジャックとジャックの基準、って感じで個人だよねって思ってました。だからMGS3 (というかビッグボスの話) についてはソリッド・スネークの話と違い、社会は無視して考えてました。 だけどMGS5で「あれ? 組織だ」って思ったんです。そうなるとハッキリと社会が絡んできて複雑怪奇な関係が出来て、MGSらしい、どういうことだ?って雰囲気が出来上がるという感じ。

メタルギアをプレイしたことがないのが不安だけど、MGSはココから始まるのかなって思いました。個人とか忠とか、そんなものは飲み込まれてしまう社会の生み出す渦。そしてTHE BOSSの色んな言葉が思い出されます。「お前もいずれ選択に迫られる」とか、「時代によって時流によって敵は変移する」とか。 ポータブルオプスですでに組織って雰囲気は出てたんだから思いつけよって感じですけど。 そう思ったら、ピースウォーカー以降のジャックが戦う理由なんて自分で考えるしかないよねってなりました。社会が絡むと難しい。ビッグボス自身が戦士たちの忠になるんだとしても、それじゃビッグボスの忠ってなんだろってところから抜け出せないです。 なのでビッグボスを操作する理由なんて自分で考えようって。後々アウターヘブンへたどりつくことは分かってるんだし、THE BOSS自身は「自分に忠を尽くした」って言ってたし。ビッグボスを自分の分身としてプレイすればいいよね、と自分を納得させました。だがしかし、自分が操作していたのは……ってなってしまいました。ショック。

ゲームプレイですが、グラウンドゼロズをプレイしていたので馴染むのは早かったです。そうでない場合は、コントローラー投げ出すか投げ出さないかってところな感じです。つまりグラウンドゼロズでモニタを窓から放り投げようかってなったこともあるってことですね。相変わらずの難易度です。 難易度は相変わらずなんですけど、敵兵の視界とか動きとか、システムを把握してしまうと一変、凄まじく自由な潜入が楽しめるっていうところも相変わらずです。

まぁでも、初プレイの中盤以降は見つかったらロケットランチャーでまとめて吹っ飛ばすとか麻酔で全員眠らせてゆっくり探索、っていう探索ゲーになりがちでした。 初めは、初見から上手いプレイを目指したいって思ってたんですけど止めました。 「蜜蜂はどこで眠る」っていうミッションがあるんですけど、2時間くらいかかりました。ほんとに。こじんまりとしたミッションがいくつかあって、それをこなすと大規模なミッションが現れます。この大規模なミッションがホントに厳しいんです。移動距離とか潜入する基地や砦の広さとか。で、なんとか覚えた敵兵の配置とかが昼と夜で違ったり、その変わり目とかに大きく敵兵が移動を始めて、隠れてるつもりが見つかっちゃうんです。どこから来たんだよ、お前さっきのプレイの時いなかっただろ、って感じです。 プレイ時間に余裕がないときは、武器使いまくりのランボープレイです。

ストーリーについては、心配していた "オープンワールドなゲーム" の特徴が出ていたかなぁと思います。没入感がないってヤツですね。オープンワールドだからなのか、それとも……っていうデリケートな話にもなっちゃうんですけど。 1週目から寄り道してばかりな自分のプレイスタイルにも問題あるかなとは思います。 ストーリーに沿って操作すれば全ての地域を体験できるようになっているので (もちろん細かい部分は無理ですが) 、アフガニスタンなら砂地、川、山岳、アンゴラなら湿原、森など、寄り道なしでも景色の変化は体験できます。

そして "音" です。MGS5の雰囲気が凄く感じられます。 ゲーム開始すると、効果音とかで「あぁ、MGS5やってる」って感じることができました。 メニュー開いて選択してるときの音とか、出撃時のピースウォーカーのテーマ曲とか。ホントに一つ一つのどれを聞いてもMGS5なんだって思いました。もしかしたら映像やBGMやキャラクター音声 (iDROIDも) が無い状態でも、ゲームプレイの効果音だけを聞いていればMGS5って分かるかもしれません。 UI(*) とか音とか、ひとつひとつが面白くて、個人的にはFINAL FANTASY 12 に並ぶ素晴らしさだと思います。 * UI ユーザーインターフェース メニューとか、下の左右に表示される装備してる武器の表示とかのことです。

そしてバディ。DD可愛いです。 D-Horseはプレイヤーと一体って感じで、潜入のために使う場合は慣れないと難しいですが、慣れてしまえば横乗りしてそのまま駆け抜けて一気に奥のほうまで潜入とか出来るようになりした。糞は使用頻度高かったです。 D-WALKERも何気にかわいいです。口笛で呼ぶと「オッパイオッパイ」っていって駆け寄ってきます。移動が凄まじく早いことに気づいてビックリしました。でも活用が一番難しいバディでした。 このバディがどれも凄いんです。なので、あまり頼りすぎると潜入の難易度が凄く下がるので、厳しくいきたいときはD-Horseで出撃して到着したら降りて潜入って感じでした。 DDで1度びっくりしたことがありました。DDは結構フラフラしてて邪魔になるときがあるんですけど、電源施設を破壊するときに近くでDDが座り込んでて、それに気づかずにC4起爆したんです。そうしたらメッセージが「電源とDDの親密度がダウン」って "セットで" 表示されたんです。もしかして作った人たちはこうなることがあるって分かってて、メッセージを用意してたのかなぁって想像してしまいました。

クワイエット。しゃべらないんですけど、ハミングをしているのが聞こえます。そのハミングを、ずっと不気味に思ってたんです。でも「静かなる消失」をクリアして変わりました。 終盤にクワイエット確保のミッションがあって、そのミッションをクリアするとクワイエットはいなくなってしまいます。そして、ミッションの終わりにハミングと同じメロディの曲が流れます。 それを聞いてからはヒドイ感覚におちいりました。静かになった医療班の地下に行って、クワイエットがいた檻を眺めたり、そして、冗談ではなく、出撃してアフガンを移動とかしてると、ハミングが聞こえているような気がしちゃうっていう、そんなところまで逝きました。はい。 そんな感じながらも全ミッションSランク挑戦とかやってたんですけど、あの噂が自分にも届いたんです。発売日ではなくて5月くらいからプレイしたので、噂でも何でもないんですけど。攻略は見ず、あの人の動画も見ずにいて、もういいかなと解禁してすぐでした。 ひたすらやりましたよ、EP11。いざ「再会」の文字を見たら、何故かクリアが惜しくなって日光浴眺めてたりしましたが無事に加入。 すぐバディとして出撃。ハミング聞きました。あんなに不気味に思っていたのに、凄く心地の良いものになっていて、この変わりように自分がビックリです。

クワイエットはしゃべらないんですけど、その理由に運よく? ストーリーで明かされるよりも先に気づくことが出来ました。 はっきりと覚えてるんですけど、「装甲部隊を急襲せよ」ってミッションがあまりにも上手くいかなくてマメにプレイしてたんです。で、ダンボールかぶって戦車が来るのを待ってるときにカセットでコードトーカーの話を聞き直してて、その中の英語株が行方不明でウンヌンって話をずっと聞いてたら、「あっ」と声が出てしまいました。クワイエットだって思いました。だからしゃべらないんだって。

操作に慣れてシステムを把握できれば、本当に自由な潜入が楽しめます。上手い人のプレイ動画とかを見て楽しんだり。 MGS5は難易度の設定がなくて、難易度はプレイヤーが自由に設定して良い、っていう感じなんです。 もし「このミッション厳しいなぁ」って感じたらチキンキャップを使う。「これ無理だ」って感じたら、バディに兵士全部を気絶させたり眠らせたりしてもらう。そういう風に難易度を "その都度" 自分で設定して遊べます。上手いプレイを無理に目指さないってやつですね。 なので、苦手な人でもバディとかアイテムとかを活用してマイペースでプレイすれば十分に楽しめるかなと思います。 難易度を上げたければ、それらを使わずに頑張るって感じです。 出来ることを出来るとこまで楽しむ。そんな楽しみ方もできるゲームだと思いました。ひたすら熊と戦ったり。 だがしかし、スカルズは厳しい。やっぱり難しいゲームです。

THE BOSSは、時代によって時流によって敵は変移する社会に飲み込まれそうになっていた、あるいは飲み込まれていた。その中で自分が戦士たちの忠になり、自身は自分に忠を尽くした。世界を1つにするために。そして倒れた。 ビッグボスは、時代によって時流によって敵は変移する社会に飲み込まれた。その中で自分が戦士たちの忠になり、そして倒れなかった。 THE BOSSは世界を1つにすることなく倒れた。この先ビッグボスはどうするのか。THE BOSSは世界を1つにするために賢者たちを統合すると言った。ではビッグボスの考えた手段は何だったのか。 ビッグボスは言った。「今日から俺はBIG BOSSだ」 時代によって時流によって敵は変移するのだとしても、戦士が必要だということに変わりがないのなら、戦士によって成り立っている戦士の社会があれば戦士は癒される。その戦士の社会に力があれば、翻弄されずにすむ。つまりアウターヘブンとザンジバーランド。そしてビッグボスは倒れた。 時代によって時流によって敵は変移する社会の中でも変わらない仕組みが見つかった。それが戦争経済。 THE BOSS から BIG BOSS そして戦争経済へと移った中で、それでも癒されない戦士がいた。リキッドとソリッド。 ソリッドは言った。「俺は英雄じゃない。英雄であったこともない」 英雄にならなかったソリッド、対峙するリキッド、英雄となったビッグボス METAL GEAR SOLIDの中で、英雄と英雄ではない2人の関係が語られる 3人の関係がMETAL GEAR SOLIDの社会にどんな影響を与えるのか 戦争が戦争を生み出す流れは断ち切ることが出来るのか ソリッドとリキッドは何を清算しようとしているのか それがMETAL GEAR SOLID 4 で語られる その始まりがMETAL GEAR SOLID V 原点はMETAL GEAR SOLID 3 自分に忠を尽くした英雄 THE BOSS だと思う。