Pompom

  • Steam
  • 2022年3月14日

このゲームは楽しいけれど難しい。難しいという言葉から連想する難しさの5倍は難しいと思ったほうが良い。だからレトロだとかポムポム可愛いといった理由でプレイすべきではない。 難しいゲームに出会ったとき、それをある種の修行だと思える人なら、あるいは耐えられるかもしれない。

ポムポムはハムスターだ。そして飼い主のホシが海賊にさらわれてしまったので助けに行くのだが、ポムポムはハムスターだからプレイヤーが導いてあげなければならない。つまり、実際にホシを助けるのはプレイヤーだが、ポムポムが助けたことにしてあげないといけない。 そう、このゲームは難しいジャンプアクションではない。 凄く難しいアクションパズルだ。だからアクションが好きだという理由だけで手を出すべきではないし、パズルが好きだという理由だけで手を出すべきでもない。必要なのはアクションでパズルを解くことへの興味と難しさに対する耐性だ。 そしてゲームパッドでプレイするのは止めたほうが良い。

ポムポムはプレイヤーが操作しなくても自分で移動する。そしてプレイヤーはポムポムが進めるように道を作る。 この説明を読んで、「スーパーファミコンマウス」を持っていたような人は気づいたかもしれない。そう「マリオとワリオ」だ。そしてそれは合っている。なぜ断言できるかというと、開発者がインタビューの中でマリオとワリオの名を挙げているからだ。 このゲームは、マリオとワリオあるいは「Lemmings」のような、自動で移動するキャラクターをゴールに導くというパズルを、より素早く正確な操作が必要なものに仕上げた。

ポムポムはハムスターだから道があれば走って進み、道が途切れたらジャンプする。もしジャンプした先に道が無かったらポムポムは落ちてしまうのでプレイヤーが道を作ってあげる。 道を作るためのアイテムは様々で、足場となるブロックや高くジャンプできるスプリングなどの設置物だけでなく、壁を壊せるハンマーやポムポムを驚かせて空中ジャンプさせることができるクラクションなどもある。 マップにはグリッドが設定されていて、それに沿ってアイテムの設置場所を指定できる。また、一時的に時間を遅らせることができる。 ポムポムは左から右に移動するが、壁に行き当たると引き返し、そのときにポムポムに「逆だよ」と教えてあげれば再び右に進んでいく。 ポムポムが落ちてしまったり道中に現れる虫などに当たるとミスになりチェックポイントから再開となる。

ポムポムはハムスターだが、ゲームの難易度は高い。時間を遅らせることができても、それは一時的なものであるためじっくり考えている余裕はない。いわゆる死に覚えゲーとも言えるほどに、ポムポムが何度も落ちていくさまを見ることになる。 しかしこの難易度についてはプレイヤーが設定できるようにもなっている。設定できるのは「セカンドチャンス」「三ばんチャンス」「フリーズじかん」だ。セカンドおよび三ばんチャンスはミスしたときにその場でやり直すことができる機能で、セカンドは1回、三ばんは2回までやり直すことができるようになる。そしてチャンスを使いきってしまってもチェックポイントに到達すればまた使用可能になる。フリーズじかんは時間を遅らせていられる時間を増減できる。もうひとつ「タイムアタックモード」があるが、これは難易度ではなくタイムアタックというプレイスタイルについての設定になる。

ゲームプレイについては、まずプレイ時間は難易度の影響が大きいので予想できない。10~12時間ほどでクリアできる人がいるかもしれないし、18時間以上かかる人もいるかもしれない。 とにかくミスを積み重ねて覚えることが必要とされるため、やり直してやり直してチェックポイントまでに30分くらいかかったということにもなるだろう。特にゲームパッドでの操作は激烈に難しい。だから私はゲームパッドでのプレイをあきらめた。 難しいとはいっても、バタバタと操作していたらクリアできたという愉快な状況になることもあり、思わず声をあげてしまいながらも進めていく楽しい瞬間もある。 ステージごとに新しいアイテムが出現するため、常に新鮮な気持ちで挑み、そして学習することになる。初期のステージをプレイすると自分のゲームプレイがいかに上達しているかを実感できるだろう。この感覚はアクションゲームで得られるものに似ている。

ポムポムはハムスターだが、凄く難しいゲームだ。だから最初から難易度を調整してプレイしても何ら問題はない。フリーズじかんを最大まで増やし、三ばんチャンスも有効にしよう。 そして、ひとつ重要なことをお願いしたい。それは、難易度に対する不満をポムポムにぶつけないで欲しいということだ。なぜならポムポムはハムスターで、作った人の言う通りに動いているだけだからだ。つまりプレイヤーが大きな不満を抱くのは開発者のせいだ。それをどうか忘れないで欲しい。 そうすれば、ポムポムはハムスターだから、その一生懸命ジャンプしてる姿は、難易度に対する不安や不満を和らげてくれるはずだ。