Life is Strange:
Before the Storm

  • PlayStation 4/Xbox One/Steam
  • 2018年6月7日/2017年8月31日

クロエとレイチェルの出会い。二人は何に悩み、何に怒り、何を楽しみ、何を共有したのか。 物語の中で何が起こるかというのはゲーム側によって決められています。プレイヤーがそれを変えることはできません。 プレイヤーが決めるのは、二人がどう悩み、どう怒り、どう楽しみ、どう共有したのかということ。 手をつないだ? 同じ音楽を聴いた? 大事なものを分け与えた? プレイヤーが決めるのは物語の中の出来事ではなく、それに対して二人はどう判断して行動したのかということ。

例えば、友達が襲われて怪我をした。そのことをプレイヤーの選択によって変えることはできません。 プレイヤーが決めるのは、怪我をした相手にどう声をかけるのかということ。 もう危ないことはしないで わたしのせいで、ごめん こわくて何もできなかった 釘を刺すか、あやまるか、無力だった自分を責めるか。ゲーム側はプレイヤーの選択に対して答えを返します。

多くの選択肢を真面目に、ときには「ああ、どうしよう」と手で顔を覆い、ため息をつきながら選んでいくことで、Before the Storm という物語の二人の印象が作られていきます。 あくまでも自分に正直に話したかもしれないし、常にお互いを守ることを優先したかもしれない。 それはプレイヤーによって変わります。そして、それはクロエとレイチェルの選択ではなく、現実に生きるプレイヤー自身の選択だったのではないかと思ってしまうほどの感覚になります。

ゲームプレイですが、プレイ時間は全てのエピソードを終わらせるのに10~12時間くらい、じっくりプレイして16時間くらいかなと思います。 結構悩みます。難しいとかってことではなく、違うのを選べば良かったかなという後悔に近い悩みです。 会話などの最中に示される選択肢を選び、どれを選んだかで会話が変わったりします。相手が納得してくれたりケンカになってしまったりもします。 ただ、どう選んだとしてもストーリーに違いはありません。起こることは起こります。それに対してクロエというキャラクターがどう選択していくかを決めていくという感じになります。 「もし自分がクロエだったら」と自分に置き換えて考えたり、「クロエならこうするだろう」と自分のイメージするクロエとして考えたり。プレイヤーによって、その選択の理由みたいなものが違うと思います。 そうやって多くの選択を続けていくと、Before the Storm という世界の中で2人が生きたと感じたり、自分が Before the Storm の世界に生きたと感じたりします。

Before the Storm では Backtalk Challenge というものがあります。これは、クロエが相手に口論を仕掛けることで結果を得ることができるという仕組みです。口論というよりは罵り合いという感じだったりもします。 言葉を選ぶときに時間制限があるので結構ドキドキしながら選ぶことになります。 Backtalk Challenge に失敗したとしても、ゲームオーバーになるとかゲーム進行が難しくなるといったことはないので、好きなものを選んでダメだったときはダメだったという感じで楽しんでも問題はないです。

Life is Strange をプレイ済みかどうかで、特にクロエに対する思い入れが違いますが、それはプレイし始めの頃まででした。ゲームを進めるうちに、単純に Before the Storm のクロエとレイチェルの話として楽しんでいました。Life is Strange を未プレイでも楽しめると思います。 ただし、Before the Storm のあとに Life is Strange をプレイする場合は注意が必要だと思います。Before the Storm をプレイすると、プレイヤーはクロエとレイチェルに対する思い入れを手に入れます。Life is Strange をプレイするとき、このクロエとレイチェルへの思い入れがあるために、"これはゲームなんだ" と自分に言い聞かせなければならないほどの胸の苦しみを感じるかもしれません。 自分は Life is Strange をプレイ済みでしたが、それでも、Life is Strange のプレイ体験を思い出して、胸が苦しくなることがありました。

If she came back tommorrow and said "hey Chloe…", I would take her back in a heartbeat. in a heartbeat. (Life is Strange: Before the Storm ゲーム内Journal、Max のページより) Life is Strange を未プレイだと誰なのか分からない Max 。クロエの Journal の中にだけ登場するキャラクターです。ボーナスエピソード「Farewell」をプレイすると2人の過去を少し知ることができます。 Life is Strange をプレイ済みだとクロエとMaxの関係も気になります。気にしたところで2人の関係は Before the Storm の中では進むことはないのですが、それでも気になります。下手すると三角関係にも似た感覚になります。 ストーリーは単純に Life is Strange よりも前の話というものになっています。Life is Strange のストーリーやエンディングに納得できなかったプレイヤーが、それを納得できるようになるといった内容ではありません。 むしろ、「この2人が Life is Strange では……」と不満が増幅してしまう可能性もあります。Life is Strange のストーリーやエンディングに納得できなかったプレイヤーは、その点について十分に意識して備えておく必要があるかもしれません。それくらい、クロエとレイチェルに対する思い入れが強くなります。

Before the Storm は Life is Strange とは違う会社が作っていますが、Life is Strange だと思える体験でした。 単純にゲームとして攻略とかを楽しもうと思うと少し退屈さを感じるかもしれない、というところも同じかなと思います。 でも、クリアしたあとの余韻はやっぱり Life is Strange だなと思えるものでした。 長らく日本語未対応だった Life is Strange: Before the Storm 。2018年6月7日に日本語版が発売されます。PlayStation 4、Xbox Oneでの発売となっています。Steam版については2018年6月7日以降のアップデートで対応となっています。