Borderlands 2: Tiny Tina's Assault on Dragon Keep

  • Steam/PlayStation 3/XBOX 360
  • 2013年6月25日

CERO「Z」(18歳以上対象)のゲームです。 ストーリーについてのネタバレを含んでいます。 「ボーダーランズ2」本編とDLC「Tiny Tinaとドラゴンの城塞」のエンディングを含む完全なネタバレです。どちらも未クリアの人は読まないほうがいいと思います。 また、私の父が亡くなったときの気持ちの整理といった真面目な内容も含まれます。

亡くなった父の部屋の整理をしていた時期、私はこのゲームのことを思い出していた。自分はこの状況をゲームで疑似体験したことがある。 父はもういないと理解している。けれども何かがそれを拒んでいる。人に心というものがあるとしたら、たぶんこれがそうなんだろうと思える。 部屋の整理をしていると、全てが過去のことだと強烈に意識させられる。机、椅子、眼鏡、筆記用具、パソコン。それらは全て父が生きていたときに使っていたもので、そこには今も未来もないと理解する。 しかし、その理解を拒む何かがある。それを解決するために、私は父の姿を思い描き、椅子に座る後姿や過去の出来事を思い出した。そうすることで解決できると信じていた。そして、理解することを拒んでいた何かがそれを受け入れ、父が亡くなったあと初めて私は泣いた。

Borderlands2のDLC「Tiny Tina's Assault on Dragon Keep」。日本語名は「Tiny Tinaとドラゴンの城塞」。Roland の死に対する復讐を果たした仲間たちのその後の話。 Tina の勧めでテーブルトークゲーム Bunkers & Badasses(B&B) をプレイすることになった仲間たち。なんだかんだと言いながらも始めようとしたとき Tina が「Roland がまだだよ」。仲間たちは顔を見合わせ首を振る。Roland はもういない。 ゲームを進めていくと、Tina は仲間を助ける白騎士として Roland をゲーム内に登場させた。そんな Tina に対し声を掛ける仲間たち。 このDLCでは、Tina は Roland の死を受け入れることができていない少女に見えるよう描かれている。実際にプレイしている私もそう思っていた。 そして、「目を覚まして…受け入れるんだ (You can't just deny……You need to accept it.)」と怒るように投げかけられた言葉に Tina は声を荒げる。 「わかってる! ちゃんとわかってる。いいでしょ、お話の中でぐらい… (I KNOW! I know! But it's my story, and…)」 このDLCは、Roland の死を受け入れることができなかった Tina がそれを受け入れることができるまでを描いていると思っていた。プレイしてからずっと、そう思っていた。

DLCによって Tina は Roland の死を受け入れることができたと思っていたけれど、父の死を経験したとき、それが変わった。 父はもういないと理解している。けれども何かがそれを拒んでいる。それを解決するために、それまでは思い出すことを自ら拒んでいた父の姿を思い描いた。それはつまり、ゲームの中に Roland を登場させた Tina の行動と同じなんだと思えた。 Tina だけが受け入れることができていなかったと思っていたけれど、他の仲間たちはどうだったのか。ゲーム内に Roland が登場することを頑なに拒んでいたのは何故なのか。そう考えたとき、他の仲間たちも受け入れることができていなかったのではないかと思った。父の姿を思い描くことを自ら拒んでいた私と彼らは同じだったのではないかと思った。 ゲームの中に登場することで、もう会えないということを強烈に意識させられる。そしてそれを拒む何かがある。他の仲間たちはその状態に止まり、けれども Tina はそこから前に進もうとしていたのではないかと思える。 Roland の像によじ登り抱きしめたときの「バイバイ」という言葉は、Roland の死を受け入れたことの報告なのかもしれないと思った。それは他の仲間たちの気持ちの代弁でもあり、Roland が登場するB&Bをプレイすることで、他の仲間たちも Tina と一緒に Roland の死を受け入れたのではないかとも思った。

人の死にまつわる話に触れたとき、映画「フィアレス」を思い出すことが多かった。その映画の物語は、恐怖を感じなくなるという症状を抱えるマックスを主人公としながら、子供を守ることができなかったと自分を責め続けるカーラを救ってみせた。 そして、私が実際に父の死を経験して思い出したのは「Tiny Tinaとドラゴンの城塞」というビデオゲームだった。あくまでも自分が経験したことをゲームの物語に重ねるということであり、私個人のことだ。親しい人の死には様々な状況があるなかで、父はもういないということについての私個人の気持ちの整理という、本当にそこだけを切り取って見た限りの話ではあるけれど、私はビデオゲームでそれを疑似体験していたと思えた。 もしかしたら間違いかもしれないという不安もある。自分の感じたことをできるだけ外側から見つめるために、この感想を書くことにした。

ゲームプレイですが、全てシングルプレイを前提とした場合の感想になります。まず難易度や気持ちよさといった部分は武器の運です。強い武器を入手できれば気持ちよく進めることができるし、そうでなければ終始つらいものになると思います。そしてキャラのレベルが十分に高い場合はヌルくなりすぎて走り抜けるだけになってしまいます。これはキャラのレベル上限が開放されてからプレイした場合のシングルプレイにおけるBorderlandsのお約束みたいなものだと思います。1週目と2週目では敵レベルの上限が違うので、武器の運を抜きに丁度いい具合を望むなら、1週目ならキャラLV35~38くらい、2週目なら53~56くらいを目安にプレイするのがいいかなと思います。3週目の場合は武器とキャラクター育成次第の上級者向けだと思いますが、Borderlandsの3週目をまともにプレイしたことがないので分からないです。 ヴォルトハンターたちがRPGをプレイするという設定なので、例えば「気をつけて。森は恐ろしいところよ。」という風にNPCたちはRPGっぽいことを言います。町やフィールドもそんな感じなので、その中をヴォルトハンターそのままで駆け回るというギャップが楽しいです。 そして、とにかくTinaが可愛いです。好きなキャラクターではあったのですが、このDLCをプレイしてからはさらに大好きになりました。

自分の場合、Borderlands2のプレイ体験はこのDLC抜きで考えることはできないし、このDLCをプレイしてからは、BorderlandsそのものをDLC抜きで考えることを止めました。それくらいこのDLCの影響は大きかったです。 そんなBorderlandsですが、2020年3月13日にSteamでもBorderlands3が発売されます。さらに2020年3月27日にDLC第2弾「愛と銃と触手をぶっ放せ! ウェインライトとハマーロックの結婚式」が発売されます。第4弾まであるということなのでまだまだ先は長いですが、DLCによってプレイ体験を完了させることができるまではBorderlands3をプレイしていきたいと思っています。