ゼルダの伝説 風のタクト

  • ゲームキューブ
  • 2002年12月13日

2人で進み1人で挑む、そして凄まじい操作感。この感覚が今も忘れられません。 時のオカリナ以降、リンクには必ず相棒がいます。そしてこの相棒はいつも一緒にいます。 ダンジョンとか、例えば時のオカリナの水の神殿みたいに、凄く大変で憂鬱でイヤになってしまいそうな場所でも、ふと相棒が現れたりすると安心できたりします。 風のタクトにも "赤獅子の王" という相棒がいて、広い海を彼と一緒に移動します。でも彼は船です。船なので陸には上がれないしダンジョンにもついて来れません。リンクは1人なんです。 この "1人きり" っていう感覚がスーパーファミコンの神々のトライフォースそしてディスクシステムの初代ゼルダを思い出させました。 そして、ダンジョンをクリアして赤獅子に会いに行くと何だか安心できます。

映像も可愛くて良かったです。 風のタクトのリンクは喜怒哀楽をハッキリと示します。ゼルダの伝説のリンクって無表情というか無反応なことが多いのでチョッと以外でした。 海の移動が退屈に感じることもあったのですが、その間、カメラを回してリンクと赤獅子を眺めてました。映像がステキなので楽しめます。それに夢中になりすぎて進路ズレてるのに気づかずに目的地から遠ざかってたり。 リンクの表情でハッキリと覚えている場面があります。ゼルダに「大変な思いをしたのは私のせいだったのね、ごめんなさい」って言われたときに、リンクは笑ったんです。エヘッ、って。そして真顔に戻り走っていく。これを見たときに、なんていうか、絶対に2人を救う、って思ったのを覚えています。

ゼルダの伝説はリンク=プレイヤーって感じで、リンクと他のキャラクターの関係は自分とキャラクターの関係でもあります。でも風のタクトはリンクが喜怒哀楽を示すので、プレイヤーはリンクを外から見守るっていう感じがします。なので、リンクとゼルダそして海賊たちとの関係も外から見守っているって感じでした。

そして操作感。自分には、これが風のタクトのプレイ体験の中心でした。剣を振る、ブーメランを投げる、前転、バク転、横っ飛び。全てが手になじんでリンクと一体になったみたいでした。3Dゼルダのアクションは風のタクトで完成したんじゃないかって思ったくらいです。 チュチュっていうキャラクター(モンスター)がいて、そいつにブーメランを当てるとボヨヨンってなって気絶します。何度も当て続けるとボヨヨンボヨヨンボヨヨンボヨヨンってなるんですけど、それが面白くて、見つけた島でチュチュが出ると必ずブーメランで遊んでました。 他のゼルダでは、戦わないで探索するってこともありましたが、風のタクトでは必ず戦ってました。操作することが楽しかったんです。 とにかく操作してる感覚。ブーメランはもちろん、カギ爪ロープで相手からアイテムを頂くとか、矢を放つ、大きな葉っぱを振って風を起こす、それら全ての感触が今も手に残っています。

終盤のトライフォースのかけら集めは評判が良くないのですが、確かに退屈さは感じました。やり込み要素的なものをストーリーを進めるために強制されるって感じです。WiiUのHDリマスターでは少し解消されているそうです。

1人で挑む不安、可愛くてステキな映像そして操作感。これがプレイ体験として強く残りました。 また、リンクをプレイヤーの分身ではなく外から見つめることで、ゲームの世界そのものを外から見つめることになりました。そのあとのゼルダでは、どことなく無反応なリンクに戻っていたので、風のタクトだけの体験だったのかなと思います。 と思っていたら。公開されたゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルドの3rd トレーラー。 ゼルダが泣き崩れるシーンでは悲しげな表情に見えるし、最後の泥だらけで立ち上がるシーンでは怒っているように見えます。また風のタクトと同じ体験ができるのでしょうか。 そんなレベルの話じゃないですよね、はい。 そういうことで、風のタクトの感想でした。