ゼノブレイド

  • Wii/3DS
  • 2010年6月10日/2015年4月2日

フィールド、バトル、ストーリー、音楽。 FINAL FANTASY XII をプレイしたあとで思い描いた、これからのJRPGはこうなるんだ、というイメージが目の前にありました。

広いフィールドで自由に動き回るモンスターたち、それぞれのエリアや状況にピッタリ合わせた記憶に残るBGM、ゲームを先に先にと進めたくなるストーリー、クセがあるけど把握すればハマるバトル。 それぞれが素敵すぎて「ストーリー進めたいけどアレ倒したい」とか「このエリアの音楽いいなあ、ずっとここにいたい」とか「1週目でバトルもクエストもっていうのは厳しいな」とか、どれを楽しめばいいんだろう、と逆に楽しみかたを見失ってしまう。2週どころか3週覚悟のゲームプレイでした。

ガウル平原に出たときの感動は今も覚えています。 鬱々とした音楽と映像の洞窟を抜けて、静かな崖の道を進んでいった先に現れる平原。両側が崖になっていて視界が遮られているんですけど、その狭い道を進むと一気にガウル平原が視界に飛び込んできます。カットシーンのあとで思いっきり走り回ることになります。FF12で東ダルマスカ砂漠に出たときのような感覚でした。

オープンワールドではないのですが、1つ1つのエリアはとても広くて綺麗で「このゲームRPGだよね?」と疑ってしまうくらい、ただフィールドを移動して楽しむだけで10分20分と時間が過ぎていきます。架空の風景を疑似体験できる探索ゲーとしても楽しめます。 個人的にスゴく嬉しいのがカメラの距離をプレイ中に調整できること。フィールドの移動中でもカメラを自由に寄せたり引いたりできるので、この距離!この角度!最高!、と1人で喜んでしまうことも多く、余計に時間が過ぎていきます。 この瞬間を切り取って他のプレイヤーと共有したいという思いを強く感じるので、今の時代のようにSNSとの連携が当たり前だったらずいぶんと違うことになったと思います。

バトルについては少しクセがあるので、プレイヤーによって楽しみ方に違いがあるかなと思います。バトルの仕組みが "リキャスト制" であることを前提として作られているので、「たたかう」とか「まほう」とかをポチポチ押して進めていくタイプに慣れていると悩んでしまうこともあるかもしれません。ですが、その場合でもレベルを上げて強い装備を集めていれば、魅力的なストーリーがゲーム進行を楽しませてくれるので大丈夫だと思います。

そして音楽。 音楽を聴くとプレイの記憶が蘇るということがあると思います。自分にとってはドラクエ2、FFタクティクス、FF12など数は少ないのですが、ゼノブレイドはそんなゲームの1つです。ときどきゼノギアス的な雰囲気のBGMもあったりします。 バトルもフィールドもストーリーの状況とかにピッタリの素敵なBGMで、手に汗握る感覚も実現してくれます。 不安になる洞窟、安心できる町、ワクワクする平原、穏やかな森林、せつない海、威圧的な機械の世界、どれもこれもが記憶に残る素敵な音楽です。

ゲームプレイですが、60時間くらいは必要な感じです。自分の場合はプレイ時間99時間のセーブデータが3つありました。たぶん300時間は越えているのかなと思います。ゲームキューブのソフトのために今もWiiを持っているので確認のために起動したら1時間くらいプレイしてしまいました。楽しいです。

リキャスト制のバトルについては海外のRPGやMMORPGなどをプレイしたことがあると大丈夫な感じですが、ドラクエなどのコマンド式に慣れているとペースの速さに追いつけないかもしれません。 「アーツ」という技を繰り出して戦うのですが、キャラクターを自由に移動させることが出来て、横から攻撃するか後ろから攻撃するかで効果が変わったりもします。

モンスターは単に動き回っているだけではなく、キャラクターの行動によってはモンスターのほうから襲ってきたりもします。視界に入ると襲ってくるとか足音に反応するとかです。近くで同じ種類のモンスターが戦っていると参戦するモンスターもいます。 「ユニークモンスター」という、いわゆる "あだ名" を持った強いモンスターもいます。縄張りバルバロッサLv81が有名かなと思います。初プレイで、ガウル平原を喜んで探索していたらBGMが変わって何だか分からないけど全滅した、っていう経験をします。平原のド真ん中、一番気持ちのいいところを歩いているのでやっかいなモンスターです。

装備には「ジェム」というアイテムを付けることが出来て、ジェムのランクによってステータスが大きく変わります。ジェムは「ジェムクラフト」によって自分たちで作成することが出来るのですが地味に楽しいです。 仲間との間に「キズナ」という仲良しメーターみたいなのがあって、仲のいい相手と一緒だと作りやすくなります。また、どの相手と作るかによって効果も変わります。 ユニークモンスターと戦うときはジェムクラフトを30分とかが普通でした。

本格的なものではないのですが町の復興なんかもあります。 それぞれの町で悩みを抱えているキャラクターたちがいるのですが、そのキャラを誘って移住させるとドンドン町らしくなっていきます。これが楽しくて夢中でやってました。 復興の進捗によってBGMが変わるのですが、今でもこのBGMを聞くと楽しくなります。

バトルは苦手、でもRPG好き。そういうスタイルのプレイヤーはストーリーやクエストそして探索を楽しむことができます。今の時代のゲームと比べればショボイものですが、それでもフィールドの探索は楽しいです。 ストーリーとかはあればいい、バトルだ、戦いたいんだ。そういうスタイルのプレイヤーはバトルをじっくりと楽しむことができます。ユニークモンスターとのバトルは本当に楽しかったです。

ゼノブレイドはXenoblade X とは違うゲームです。順番としては Xenoblade X がゼノブレイドとは違うゲームということになりますが。 Xenobalde X は世界観やバトルを楽しめない場合はイマイチな感じになってしまうかもしれません。逆に、そこを楽しめるなら徹底的にプレイできます。 ゼノブレイドはプレイヤーのスタイルに違いがあっても楽しむことができると思います。ストーリーならストーリー、探索なら探索、バトルならバトル、用意された中から自分が楽しみたい要素を選んでプレイしても十分に楽しめます。 そして "ゼノシリーズ" というキーワードにたどり着くこともあると思いますが、ゼノシリーズを知らなくても問題なく楽しめます。

ストーリーあります。探索もあります。クエストもあります。バトルもあります。BGMもあります。 そんな全部盛りな、別の意味でプレイヤーを悩ませてしまうゲームです。 ゼノブレイドのナンバリングタイトル「ゼノブレイド2」が2017年12月1日に発売されます。これは "ゼノブレイド" の2です。ゼノブレイドは2010年のゲームで、3DS版があるとしてもプレイしたことがない人もいると思います。 Xenoblade X がイマイチだったと感じた人は "ゼノブレイド2ってどうなの" と思うかもしれません。そのときは "ゼノブレイドとXenoblade X は違うゲーム" と考えて、トレイラーなどを見るときに一旦 Xenoblade X のことは忘れて判断するといいかなと思います。 「ゼノブレイド2」Nintendo 公式チャンネル