Chorus

  • Steam/GOG/PlayStation 4, 5/Xbox One
  • 2021年12月4日/2022年2月9日

さあ、探索を始めよう。ただし、徒歩でも馬でも車でもなく、高性能な戦闘機で。

探索好きな人のためのゲームだ。 トレイラーを見るとハイスピードでの撃ち合いや障害物を避けて進むなどのゲームプレイに注目させられる。確かに戦闘においては狙って撃つというエイムが重要だし、フライトシミュレーター寄りのシューティングに不慣れだと戦闘機の操作に戸惑うかもしれない。そのため、ある程度でもいいので、やはりシューティングに慣れている必要はある。 しかし同じくらい重要なのは、サブクエストなどの消化を含めた探索を楽しめるかどうかだ。

マップはスカスカだが宇宙はスカスカが当たり前なので問題ない。しかし移動がすごく退屈なものになってしまうという問題は残る。それに対しては多くのサブミッションを用意するという方法で解決している。 探索中に発生するサブミッションは、それらの短いストーリーに沿ってさらに別の場所に向かわせるという流れになっている。しかもストーリーミッションの最中でもお構いなしに発生するので、進めているミッションがストーリーなのかサブなのか分からなくなってしまうこともあるくらいだ。 この無節操とも言えるサブミッションの発生によって、広いけどスカスカなマップを退屈せずに探索できるようになっている。

戦闘機は装備やマスタリーによって強化できる。 装備は購入することもできるが、ところどころに浮かんでいる小さいコンテナやサブミッションで入手できるもののほうが高性能だ。だから探索しよう。 マスタリーはトロフィーや実績のようなもので、例えば「敵をガトリング銃で倒す」といったものになる。このマスタリーを達成すると装備などの性能が向上する。だから探索のついでに達成しよう。 これらの強化は特に悩む必要のないものになっていて、どれを選んでも効果を実感できる。そしてその実感と喜びによって、探索好きなプレイヤーが陥りがちな、探索自体が目的となってしまう状況を回避させてくれる。

主人公はライトと呼ばれる特殊な感覚を持っている。これによって周囲の物を検知したり敵の背後に瞬間移動したりできる。このライトを使用することで、狙って撃つというアクションのリズムに大きなうねりを作り出せる。 ライトはパワー・アップグレードの入手やマスタリーの達成によって強化できる。パワー・アップグレードは特殊な効果を付与できる強化で、ミッションで行った場所の付近に浮かんでいることがある。だから探索しよう。 これらの強化は戦闘で非常に有利に働くので、探索好きなプレイヤーの意欲を維持するのに十分な報酬となっている。

探索好きなプレイヤーが楽しめるゲームではあるが、やはりアクションからは逃れられない。 フライトシミュレーター寄りのシューティングをプレイしたことがない場合は操作方法に慣れるのが大変だと思う。狙って撃つというエイム操作が苦手なら尚更だろう。しかし、その場合でも時間をかけて飛び回ればいい。問題は時間制限のあるミッションだ。 アクションに興味がない場合、時間内に目的を達成しなければならないのはかなりつらい。さらに倒し方が分からない敵の場合は何度も挑戦することになるが、そのときは攻略情報やプレイ動画の出番だ。それでも難しい場合は難易度を下げてしまおう。そこは割り切ったほうがいい。

ゲームプレイについては、まずプレイ時間は探索にどれくらい時間をかけるかで違うが、12時間ほどだと思う。ストーリーだけを追うのであれば8時間かからないかもしれない。 やはり探索を楽しむというプレイスタイルが向いている。戦闘機とライトの強化は難易度に大きく影響するので、サブミッションで報酬を入手したり、探索中に発生する海賊との戦闘などでマスタリーを稼いだりすればストーリーミッションの進行が楽になる。 ただし、アクションが苦手だと強化をしてもやはり戦闘は難しい。特にエイム操作に不慣れだといつまでも敵を倒せない。その場合は、残念ながら、時間をかけて操作を上達させるしかない。難易度の設定もしつつ何とか乗り切ろう。

Chorus は戦闘機によるシューティングで探索を実現した。 多くのサブミッションを配置し、報酬を用意し、そして高性能な戦闘機で戦わせる。それら一つ一つのありきたりな要素を「宇宙だから」という理解で納得させられるスカスカなマップに配置することで、驚くほどの没入感を得られるアクションアドベンチャーとなった。これは奇跡だと思う。 戦闘機をドリフトさせ、そして流れゆく景色を眺めている時間は、探索が好きなプレイヤーにとってこの上なく幸せなものとなるはずだ。