グランディア
- セガサターン/PlayStation
- 1997年12月18日/1999年6月24日
「ジャスティン」 グランディアに対する思い入れはプレイ時間が影響していて、はっきりと覚えていないのですが、1ヶ月くらいずっとプレイしての60時間以上だと思います。 60時間とか80時間とかプレイしたゲームなら、どんなゲームだって記憶に残るけれども、それじゃ長時間プレイできたのはゲームが好きだからなのか、それともグランディアだからだったのかと考えると、それはやっぱりグランディアだからだと思えます。
自分にとってのグランディアのプレイ体験は大きく分けて2つありました。1つはバトル、もう1つはテキストを読むことです。そして、テキストを読むということの楽しさは、そのままグランディアの楽しさの1つだったと思います。 街に住む人たちの全員に話しかけることができて、ほぼ全ての人たちに2つ以上のセリフが用意されています。さらに、イベントの発生やストーリーに合わせて、ほぼ全ての人たちのセリフが変わります。そして、ほぼ全ての人たちに個性などが設定されていて、主人公たちが何かしらの反応を示すときもあります。 色々な街があり、色々な人種がいる。見た目だけでも十分に世界をイメージできるのですが、1人1人に話しかけてセリフを読むことで、どう過ごしどう考えているのかを知ることができます。 テキストを読んで人々の生活や街の特徴を理解し、グランディアの世界を自分の頭の中で作っていく。それが楽しくて、うっかりイベントなどを進めてしまったときは落ち込んでしまったくらいです。全てのセリフを読むことはプレイヤーの義務だというくらいの感じでした。そこまで熱心に話しかけて回るということをしたRPGは、今でもグランディアだけです。
バトルについては、キャラを育てて強い装備を手に入れて挑むというRPGの基本的な部分を頑張っていれば進めていける難易度になっています。ただ、仕組みが割りと複雑なのでボス戦とかは苦労することもあります。なので説明書の熟読は必要になると思います。それでも上手く戦えないときはバトル(特に仕組みについて)の攻略情報を見てしまったほうがいいと思います。 初めは取りあえずポチポチとボタンを押して進めていたのですが、あるボス戦(イカ)で詰まってしまい、仕組みをしっかり把握することにしました。仕組みを把握してバトルをするようになったら凄く楽しかったのですが「これを毎回やってたら時間がかかるな」となり、結局は「狂喜乱舞」という自動設定で戦わせてました。仕組みの詳しい説明は長くなるので省きますが、全体攻撃だと1回の攻撃だけで敵全員の待機時間を伸ばすことができるので、味方全員で全体攻撃をしまくれば、敵より多く行動することができるようになります。狂喜乱舞だと全体攻撃の魔法などを使ってくれるので楽に倒せます。ただ、MPがなくなると途端に厳しくなるので、マメにセーブポイントまで戻って回復してました。 このバトルに関しては後悔していて、「もっと時間をかけて楽しんでおけば良かった」とグランディアの話を見聞きするたびに思います。ボス戦は手動で時間をかけてプレイすることが多かったのですが、上手く戦えたときはやっぱり気持ちよかったです。
ストーリーについては冒険というキーワードからイメージできる通りの展開です。困難にぶつかったら解決し、先へ先へと進んでいく。冷静になって考えてしまえば、その流れは都合が良すぎるのではないかとなってしまうこともありますが、冒険を描くということは上手くいくということが約束されているということなので、そこは深く考えずに流れに乗って楽しんでました。 しかし冒険だけで終わらないのがグランディア。主人公たちのことはもちろん、敵対することになる勢力のこともしっかりと描かれています。彼らの行動する理由、その裏にある苦悩。ただ1人を除いて、彼らの目的は同じです。しかし、その手段の違いが原因となって敵対していくことになります。
グランディアの世界に住む人たちは皆、それぞれの仕組みの中にいて、それに従って行動しています。市民、軍、仕事、掟。そんな彼らのうちで、その仕組みに疑問を抱き、それを知り解決するために行動する人たちがいます。それが冒険者。冒険者は何かを見つけ何かを知り、それを人々に伝えます。 冒険者が見つけた何か、その何かは結局、全てがグランディアという世界の仕組みの中にあるということに気付き、直接その仕組みを利用しようとするものが現れます。しかしそれは世界を破滅に導くことなります。 世界の破滅を防ぐために、同じく直接その仕組みを利用しようとするものが現れます。それがミューレン大佐。しかしそれによって破滅を防ぐことはできるけれども、それらは全て神話という仕組みの中にあり、ある役割を持って生きる人たちを犠牲にし、いつの日にかまた同じことが繰り返されます。 犠牲でもって世界の破滅を防ぐ、その繰り返しを止めることができる可能性に気付いたものがいます。それがリーン。しかしその可能性は、今のままでは可能性で終わってしまうことにも気付き、それを確かな、そして新たな仕組みとして実現するために決意を固めます。 リーンが気付いた可能性、長く続く神話を止め新たな世界を築くための可能性、それがジャスティンとフィーナ。しかし2人はその可能性が何のことなのかに気付いていません。何のことなのかどうすればいいのか、それを捜し求めても分からない。そして2人は別々の道を歩み神話に従うという結果となり、ジャスティンは破壊された街に1人向かいます。 「ジャスティン」 自分は1人ぼっちだとうなだれるジャスティンを呼ぶ声。この声を聞いたときの驚きと嬉しさと心強さというのは、それはもう声を上げてしまったほどです。そして、プレイヤーである自分が感じたその嬉しさと心強さこそが、ジャスティンとフィーナが持っている可能性なんだと気付きました。色々な街に行き冒険をし、そして出会った人たち。これまでのプレイ体験の全てがそこにある。 ゲームプレイに損も得もないけれど、頑張ってプレイしてきたことが報われたと思えた瞬間でした。
「グランディアは面白いのか」と聞かれたとしても、それに対して面白いとも面白くないとも言えません。自分のグランディアのプレイ体験はプレイ時間の長さに大きな影響を受けています。本当にはっきりと思い出せないのですが60時間以上か、もしかしたら80時間を超えているかもしれないです。けれども、とあるプレイヤー(自分)がそれだけの時間をかけてプレイすることができたゲームだということだけは分かります。 面倒だなと思うこともありました。分かりにくい覚えにくいマップ、ムダに時間を費やしていると感じてしまうこともある魔法などの長いモーション、持てる数が少なくてすぐに一杯になって捨てることになるアイテム。そういったところが気になって仕方がないときもありましたが、それでも、やっぱり、だからこそ、"あの呼びかけ" を聞いたとき、それまでのプレイ体験を一気に思い出し、泣きました。泣きそうではなく泣いた。あの瞬間は、間違いなくこれまでのプレイ体験におけるオールタイムベストです。
2019年8月16日に海外でSwitch用ソフト「Grandia HD Collection」が発売されました。発売元である GungHo Online Entertainment America は2019年8月12日のTwitterで、日本語テキストは今後のアップデートで追加されるといった情報を提供していましたが、2020年3月25日に日本版が発売されました。