ブレイブリーデフォルト フォーザ・シークウェル

  • 3DS
  • 2013年12月5日

ブレイブとデフォルトそしてジョブシステムによるタクティカルな感覚。 もう一度バトルしたいと思える嬉しさ。

ファイナルファンタジータクティクスで途切れたと思っていたジョブシステムの流れ。 あくまでもブレイブリーデフォルトでありファイナルファンタジーではないのですが、やっぱりジョブシステムは楽しいです。 どんなジョブがあるのか、どんなアビリティを覚えるのか。何が入っているのか分からないおもちゃ箱をひっくり返すような感覚です。 メインストーリーとは別のサブストーリーも充実しているので、メインとサブを同時に進めていくとプレイ時間は80時間以上になります。それに加えてバトルの攻略もしっかり楽しむと130時間を超えると思います。

「ブレイブリーデフォルト フォーザ・シークウェル」はオリジナルの「ブレイブリーデフォルト フライングフェアリー」の約1年後に発売されたタイトルで、どちらもメインのストーリーは同じです。フォーザ・シークウェルはバトル要素などを調整し直したものになります。 オリジナルをプレイ済みでストーリーに興味がない場合でも、終盤のサブストーリーに追加の要素があるのでバトル攻略を中心に楽しめると思います。 大きな変更点としては、セーブデータを3つ作れる、戦闘の難易度を設定できる、エンカウント率(敵と出会う頻度)を変更できる、バトルで勝利しても経験値やお金を入手できないように設定できる、クリア後に NEW GAME+ が選べる、の5つです。 NEW GAME+ はクリア時のジョブレベルやアイテムなどを引き継ぐことができ、何を引き継ぐのかを細かく選択することができます。 ゲームプレイについては、戦闘シーンの4倍速やコマンド入力の自動化など、バトルの攻略をストレスなく楽しめるようになっています。また、ブレイブリーセカンドという特殊なバトルシステムも追加されています。 バトル攻略については、BPの減るタイミングがコマンド選択時ではなく "コマンドを実行したとき" に変更されているなど細かい部分で違いがあるので、オリジナルをプレイ済みだと戸惑うことがあるかもしれません。

バトルはターン制で、24種類の「ジョブ」を使いこなして戦います。全てのジョブを最初から選べるのではなく、特定のバトルに勝利することで新しいジョブを手に入れることができます。ゲームの終盤になってから、とても強い敵を倒さなければならない場合もあります。 ジョブを育てるとそのジョブ固有の「アビリティ」を覚えていきます。おなじみの剣や魔法の他に、薬の知識を活かしてアイテムを活用したり、歌で仲間を鼓舞したり、お金を払ってダメージを与えたりと色々な戦い方を楽しむことができます。 また、ジョブにはそれぞれ得意な装備があって、得意な装備の場合はステータス上昇が大きくなります。

メインストーリーと同時にサブストーリーがあり、ほとんどのジョブはサブストーリーを進めることで入手できます。サブストーリーは凄く充実した内容で、アビリティやバトルの攻略を楽しむ場合は「サブこそメインだ」と言えるものになっています。 街を復興させるというミニチャレンジもあります。これを進めると強力な装備を購入できるようになりバトル攻略にも影響があります。

ゲームプレイですが、プレイして2つ目のダンジョンで「あれ?レベル上げ必要なんだ」と気付きます。その時点で買える最高の装備でも攻撃力や防御力が足りないと感じます。そのままコツコツ進めることも出来るのですが、非常にタクティカルなバトルになりザコ戦でも時間がかかります。サブストーリーも進めていくとプレイ時間がどんどん増えていくのでプレイスタイルによってはストレスを感じることになります。全滅はしないけどバトルに時間がかかりすぎるという状況なら、レベル上げをしたほうが気持ちよく進めます。まだいける、まだいけると思いながらプレイしていると最序盤で10時間を越えたりします。 とにかくバトル。序盤からバトルに意識を集中させていくことになります。この感覚は、バトル好きには嬉しくてたまらないものになると思います。

今のエリアをサクサク進めるには次のエリアで購入できる装備が必要という感じになっています。また、サブストーリーのバトルもメインと比べると厳しく感じます。そのため、メインを四苦八苦しながら進めて次のエリアに行ったら装備を購入、そして前のエリアに戻ってレベル上げてサブストーリーに挑戦する、そういう感じで進めていくといいかなと思います。もちろん、細かいことを考えずに、とにかくレベルを上げて色々なジョブとアビリティを試すというプレイでも楽しめますが、ジョブとか装備とかをあれこれ考えながらプレイすると時間を忘れるほどの没入感を得られると思います。 基本的にレベル上げやジョブ育成などでキャラクターをどんどん強くしていくという難易度になっているみたいで、ダメージ5000くらい与えて喜んでいたら「ダメージ9999与えられるようになったかな?」みたいなヘルプが出てきてビックリしまた。「そういうレベル調整だったんだ……」と気付いて少し悲しくなったのを覚えています。けれども、ジョブの選択や戦い方をじっくり考え、ギリギリの戦いを繰り返すという感じでも凄く楽しいです。

もう一度バトルしたいと思える嬉しさ。このゲームのプレイ体験はそこにあると思います。 バトルに勝てない、何が足りないのか。無理と思えるボスでも、リトライを繰り返しアビリティの組み合わせを考えればプレイヤー側のペースでバトルを進めることができる。そして、無事に倒せた敵でも「あっ、これ使えばよかったんじゃね?」という感じで、アビリティの一覧を眺めてバトルを振り返ってしまいます。決して冗談ではなく、ボスを倒した直後に10分とかアビリティ眺めて考えていることが普通でした。そう、倒せたのにまた倒すことを考えてるんです。 新しいアビリティを覚えるたびに色々なバトルの攻略を思い描くのですが、アビリティの数だけ思いつくので、それらを試すには時間がどれだけあっても足りないです。 何気に試してみたアビリティの組み合わせが有効だと気付き、別の人がプレイしているんじゃないかと思ってしまうくらいに、戦い方がガラッと変わってしまうこともあります。

フォーザ・シークウェルは経験値などを入手不可にできるということに加えてエンカウントも自由に設定できます。キャラの育成やバトルといったRPGに重要な要素についてプレイヤーが自由に調整できるという、割り切っているというか吹っ切れているというか、そういう感じの仕組みです。それらを利用して、探索なら探索、レベル上げならレベル上げ、バトル攻略なら攻略という風に作業を完全に分けてプレイすることもできます。 下手すると難易度の調整などを放棄しているようにも思えますが、実際にプレイしてみると、バトル、バトル、バトルで、とにかくバトルを楽しむという感覚になります。

ブレイブリーデフォルトは30~40時間ほどでサッとクリアしてという感じではなく、80時間くらいは考えたほうがいいゲームです。 このプレイ時間についての感覚が独特で "妙にプレイ時間が増えていく" という感じがします。どうしてこう感じるんだろうとプレイしながら考えたのですが、ストーリーが関係しているのではないかなと思いました。 ストーリーは色々な謎が終盤で一気に明らかになるという流れです。1つ目の謎が解明されないうちに2つ目3つ目の謎が発生するので、進めるにつれて謎だけが増えていくため、ゲームは進行しているけどストーリーは進んでいないと感じることがあります。それに対してプレイ時間はどんどん増えていきます。イメージとしては、序盤60時間、中盤10時間、終盤10時間という感じです。 少しずつ謎が解明されていくのではなく、本当に全てが終盤に入ってから明らかになります。そのため、プレイ時間としては中盤を過ぎている感じなのにストーリーは全く進んでいない気がする、という不思議な感じがします。

ストーリーは別にどうでもいい、ジョブだ、バトルだ、戦いたいんだ、というプレイヤーなら「80時間以上?上等、むしろ嬉しい」となるのですが、プレイ時間を十分に確保できないプレイヤーだと "いつまでも序盤から抜け出せない感" にストレスを感じイヤになってしまう可能性があります。その場合は、街の復興による装備の購入やブレイブリーセカンドなど、すれ違い通信や3DS本体のスリープ機能を活用できる便利な仕組みをフルに活用して、キャラ育成とバトル攻略を楽しむ方向に気持ちを切り替えたほうがいいかなと思います。 特に、街の復興による防具の充実は凄く強力なので、バトルが厳しかったら防具屋を優先して上げていけば序盤(プレイして10時間ほどの本当の序盤)から強い防具の入手が可能です。頭装備の「レッドキャップ」は終盤まで使えます。さらに「祝福の盾」なんかはバトル中にアイテムとして使用するとケアルラの効果があるのでMPを気にせずHPを回復できます。フレンドとか通信とか興味のない1人ぼっちなプレイでも3DS本体のスリープ中なら復興が進むので、プレイヤーがスリープしている間などに問題なく入手できるようになります。

RPGには、楽しんでいるうちにレベルが上がりすぎてヌルゲーになってしまうというジレンマがあります。それを初プレイから経験値入手をゼロにできるという凄い機能により、バトルを中心に楽しみたい人は、1ターン1ターンをじっくり考え、タクティカルなバトルを最後まで楽しむことができます。ボス戦の前にアビリティの組み合わせを考え準備をし、戦闘開始時の手順をイメージするのは本当に楽しいです。経験値制限とかをしなくてもボス戦30分とか普通にあります。 細かいことを気にせずにジョブシステムを気軽に楽しみたい人は、エンカウントを増やして短時間でレベルを上げてサクサク進めることもできます。その場合でも豊富なアビリティを色々試して楽しむことができます。

とにかく、もう一度バトルしたい。 「もうイヤだ、やりたくない」と思いながらボスを倒しても、倒したあとで何分もアビリティを見つめて「これとこれ組み合わせて……バトル始まったら……これ使って楽勝かも……いややっぱ違う……」と、腹を立てて3DS本体を軽く放り投げてしまったことも忘れて考えてしまう。すでに倒した相手とのバトルを思い描いて、次はこう戦うぞと考えてしまう。そんなゲームです。