CrossCode

  • Steam/GOG
  • 2018年9月20日

v1.0.1(2018年10月22日)で「アシスト」という機能が追加されました。これにより難易度をプレイヤーが設定できるようになりました。オプションのアシストタブで設定できます。

2DのアクションRPGです。HTML5というもので作られているらしいです。 MMORPGの世界という設定のゲームで、CrossCode 自体はシングルプレイのゲームです。co-op といった協力プレイもないです。 v1.0.1 で追加されたアシストを使わない場合、クリアまでのプレイ時間は40時間以上になるかもしれません。クエストや探索も楽しむと60~80時間くらいになると思います。アシストを使った場合のクリア時間は未確認なので分からないのですが、難易度を下げても20時間以上になるかもしれません。 ボス戦とダンジョンが難しいです。アシストを使わない場合は、1週目でストーリーをサッと確認するといった気軽さはないです。そのため、クリアを急ぎたいというスタイルのプレイヤーはアシストで難易度を下げないとストレスが大きいと思います。逆に、ゲームクリアはゲームプレイの結果であって、その過程を大事にするというプレイヤーは、アシストを使わずに四苦八苦することで、忘れられないゲームになるかもしれないです。

MMORPGの世界を楽しむプレイヤーが操作するアバター(キャラクター)たちの物語です。MMOというのは不特定多数のプレイヤーがオンラインで集まってプレイするというゲームで、「FINAL FANTASY XIV」や「ドラゴンクエストX」は有名だと思います。オンラインで他のプレイヤーとパーティを組んでチャットを楽しんだりクエストに挑戦したりできます。

フィールドの探索、豊富なクエスト、近接と射撃による攻撃、ダンジョンのパズル、攻撃パターンを覚えるボス戦、そしてストーリー。 アクションRPGではあるのですが、どの要素に注目するかでプレイ体験も変わるのではないかというくらい、全ての要素が丁寧に作られていると思います。 探索やパズルを楽しんでいるときはアクションアドベンチャーだと感じることもあります。仲間との会話やイベントを楽しんでいるとJRPGだと思うこともあります。スキルやキャラクターの組み合わせを考えてひたすらザコ戦を繰り返すという、バトル重視な楽しみ方もできます。

ストーリーは凄く魅力的なので、どの情報もネタバレになってしまう気がします。 アバターたちはクロスワールドの謎を解き明かすために、火炎、冷気、波動、電撃という4つのエレメントを入手することになります。そして、その世界に「レア」というアバターが現れます。 レアは何者で何を目的としているのか。ストーリーを進めることで、それが明らかになっていきます。プレイしている間はずっと謎状態で終盤になって一気に明らかになるという流れではなく、きちんと順番に(本当に良いバランスで)明らかになっていきます。

フィールドは緑が豊かであったり雪が積もっていたりと色々な種類があります。どんなフィールドがあるのかということすらネタバレになってしまうかもと思うくらい、特徴的なフィールドが用意されています。 広くて移動も大変ですが、キャラクターの移動速度が速くてファストトラベルもあるので、探索に飽きたらサッと次の目的地に行けます。 草などを刈って素材を入手することができます。入手した素材はアイテムや装備と交換できます。 宝箱が配置されているのですが、すんなりと取らせてはくれません。色々な仕掛けを解いたり、隣のマップから進入する必要があったりします。

ダンジョンは完全にパズル系です。しかも難しいです。本当に難しいです。分かる人にしか分からない説明ですが、神々のトライフォースくらいの難しさが基本で、中盤以降はさらに難しくなるという感じです。もちろんノーヒントです。各部屋の名前が少しヒントになっているくらいです。 ダンジョンは4つのエレメントに対応しているので、火炎のダンジョンなら火を利用して攻略するという感じになります。入手したエレメントは最終的に4つになるので、終盤になると、火炎、冷気、波動、電撃の4つを駆使して謎解きすることになります。かなり厳しいです。

バトルはザコ戦とボス戦で全く違う体験になると思います。 キャラのレベルや装備にもよりますが、ザコ戦はスキルを駆使して派手に戦っていく感じです。そして、連続して戦い続けるとドロップアイテムを入手しやすくなるという仕組みになっています。シンボルエンカウントなので面倒なら無視して進むこともできます。 ボス戦は攻撃パターンを覚えて、それに応じた攻撃を選んで進めていくというパズル的なバトルです。そのため、どう攻撃すればいいのか分からないと倒すことはできません。これが厳しいです。ただ、戦いかたがわかってしまえば単調な作業になってしまう可能性もあるのですが、アクションな操作も要求されるので難しいとは思います。

キャラクターの育成は、レベルアップと装備によるステータスアップ、スキルツリーによるスキルの取得の2つです。 装備はお店での購入だけでなく集めた素材と交換することもできます。 スキルは1つの方向を深く進めて強力なスキルを取得することもできるし、浅く広く進めて基本的な性能のスキルを幅広く取得することもできます。取得したスキルの付け外しなどはできないのですが、特定のアイテムを使用することでリセットして取得し直すことができます。

v1.0.1 で追加された「アシスト」は、「受けるダメージ量」「敵の攻撃頻度」「パズル速度」の3つを調整できます。リアルタイムで設定できるので、例えばボス戦の途中であっても変更することができます。 「受けるダメージ量」は20%まで設定できます。これにより、バトルについてはストーリーモードと言える難易度にもできます。 「敵の攻撃頻度」は50%まで設定できます。敵が攻撃してくる頻度を調整できます。特にボス戦で違いを実感できると思います。 「パズル速度」は50%まで設定できます。ダンジョンの仕掛けの時間制限を長くすることができます。 敵の攻撃頻度とパズル速度はビックリするほどの難易度低下ではないのですが、100%と比べればかなり余裕ができます。

ゲームプレイですが、難しいです。フィールドの探索やザコ戦のサクサク感と比べて、ダンジョンとボス戦の感じに差がありすぎて戸惑ってしまうこともありました。そのため、手軽に楽しみたいプレイヤーは嫌になってしまうかもしれません。ですが、その難しさに抵抗がないプレイヤーは没入感や達成感みたいなものを維持できると思います。 CrossCode は基本的に "慣れている人、分かっている人" に向けた難易度になっていると感じます。なので、あまりにも難しいときは、アシストで難易度を調整してしまうのがいいと思います。

あまりにもダンジョンのパズルが分からなくて、10分くらい画面を眺めているだけなんてこともありました。そして、ふと試してみたことが上手くいったときの脱力感。「そういうことか」と自虐的な笑いが込み上げてきます。 中盤を過ぎると、部屋1つクリアするのに30分以上かかるとか、あまりの訳のわからなさにやる気を失ってしまうこともありました。そのときはゲーム終了して次の日にプレイしたり、ダンジョンを出て、1つ前のエリアで気持ちよくバトルしながら素材を集めるとかしてました。 1つ1つの仕掛けが、なんていうかギリギリに調整されていて、ノーミス的な感じで操作しないと上手くいかないです。そのため、良く分からないけどあれこれやっていたらクリアできたということにはならないと思います。

ボス戦も難しくて、「やっとダンジョンの仕掛けを解いてたどり着いた先がこれか」と完全に心折れた瞬間もありました。でも、気を取り直して挑戦すると、そもそも使う攻撃の属性を考えていなかったという単純なミスに気付くという情けなさ。 ダンジョンのパズルとボス戦の攻略はセットなので、この2つに何度も心をヘシ折られ、冷静にプレイできなくなったら、初心に戻って考えてみたり、意味がないと思うことでも試してみることを意識すると突破できるかもしれません。

レベルを上げて殴るというプレイも一応は可能ですが、探索やクエストをこなしてやっと余裕のあるレベルまで上がるという厳しさです。取りあえず先に進めようかと思って次のエリアに行ったけど敵のレベルを見て引き返すこともありました。そして、結局は探索とクエストをこなすことになります。 でも、その繰り返しが何故か楽しい。草とかを斬ったときの感じが気持ちよくて「草を斬った」という感覚があります。それが楽しくて斬りまくって素材を集めてました。 たどり着けない宝箱を見て、どうやって行くんだどうやって取るんだと考えてウロウロしていると、マップも覚えられるし素材も集まるのでアイテムや装備を入手できます。自分はアクションが得意ではないのでレベルや装備で乗り切りたいため、探索とクエストは積極的に楽しんでました。

用語なども含めて、MMOをプレイしたことがあると楽しめるところもあるので、プレイヤーによって楽しさに微妙な違いはあると思います。 仲間とパーティを組んだときの楽しさや安心感、ソロでプレイしたい衝動、削除されたコンテンツの復活を希望するプレイヤーや運営への不満を言っているプレイヤーなどなど。「こういうプレイヤーいるかも、自分はこのタイプかな」と考えたりもします。 楽しいことばかりではないけれども、何故か抜け出せない感じを上手く体験させてくれると思います。

エヴォターを友達だと思えるだろうか。 そして、友達だと思えたとしたら、そのエヴォターが消去されるかもしれないと聞いたとき自分は何を思うのだろうか。たぶん、消して欲しくないと思うだろう。 そのエヴォターが消去されると決まったら自分はどうなるのだろうか。たぶん、行き場のない感情が溢れ出て、涙を流すと思う。 エヴォターはエヴォター自身のデータが消去されることをどう思うのだろうか。 エヴォター自身のデータが消去されるかもしれないと知ったとき、エヴォターは何を思うのだろうか。レアはレア自身のデータが消去されるかもしれないと知ったとき、何を思ったのだろうか。 データが消えるということは、エヴォターにとっては人間にとっての死ぬことと同じに思える。そのことに対する思いはどれほどのものだろうか。 ゲーム内でレアがしゃべることはありません。いくつかの単語は話せますが、会話をすることはできません。でも、プレイヤーはレアを知ることができます。周りのキャラクターのレアに対する反応やゲーム内のレアの映像によって、レアが伝えたいこと、感じていることを知ることができます。ですが、それらは周りのキャラクターたちによる説明などからプレイヤーが想像をしているだけになります。 ラストで、これまで冒険したエリアをレアたちが辿っていきます。それはレアの体験でもあるけれど、プレイヤー自身の体験でもあります。予期せぬトラブルによって仲間たちと会えなくなったときの寂しさ、再会できたときの嬉しさ、それらはプレイヤーのものでもありレアのものでもあると思えます。 そして、レアは仲間たちと別れること、会えなくなることが悲しいと思っているように見えました。これまでの冒険の記憶が、レアにとっては大事なことだったのかもしれません。 もちろん、その記憶はプレイヤーにとっても大事なことですが、それは CrossCode というゲームの体験です。そして、仲間たちにとっても、クロスワールドでの体験はゲームの世界での体験でありロールプレイでもあります。 でも、ただ一人、レアだけは、クロスワールドの世界での出来事が現実であり、その世界のレアはロールプレイではなく、本当にレア自身だったのだと思えます。 レアは何を思い何を望むのか。レア自身の言葉で聞きたいと思っても、それは叶いません。プレイヤーが自分のプレイ体験を元に想像するだけです。 レアの思いはプレイヤーの想像であるために、消去されるかもしれないと覚悟したときのレアの思いは、つまり、プレイヤーが CrossCode をどう楽しんだかで変わると思います。バトルに四苦八苦したのか、探索を頑張ったのか、ダンジョンに悩まされたのか、それらプレイヤーの体験一つ一つがレアの体験になるのだと思います。

ビデオゲームという現実ではない世界での、さらにMMOという現実ではない世界の体験。 CrossCode のプレイ体験は、自分の CrossCode のプレイ体験でもあったけど、同時に、レアというキャラクターのクロスワールドでの体験でもあったと思います。 レアは、あくまでもビデオゲームの中のキャラクターですが、自分のゲームプレイが自分以外の誰かの体験に影響するというのは、"MMOというゲームの体験" を体験できたのかなと思えました。 ラストで感じる何とも言えない気持ちは、これまでプレイしたシングルプレイのゲームをクリアしたときの感じとは微妙に違ったものでした。