Decline's Drops

  • Steam
  • 2024年10月11日

日本語未対応です。 タコ殴る2Dのアクションで、ジャンプアクションぽい部分もあります。 可愛いらしい映像ですが結構難しいステージがあるのと、難易度などの調整といったアクセシビリティもない(2024年10月時点)ので、アクションが苦手な人は中盤以降がつらいかもしれないです。 木製の人形である主人公の Globule。森の裏に隠れて過ごす彼女は庭の植物たちの世話を楽しんでいた。 そこに紫の雨を降らせる不吉な雲が現れ、そして6つの頭をもつヒドラが暗い空から落ちてきたとき、植物と動物たちは姿を変えてしまった。 荒廃した庭を見た Globule は、グローブを手に取り、その混沌を終わらせるため出発する。

ステージ数は全部で42個で、ストーリー用のステージが30個にボス戦が6つ、そしてハートの欠片的なコレクタブルを集めてアンロックするステージが6つあります。クリアしたステージはいつでも再挑戦できます。 攻撃のアクションは単にボタンを押すだけではなく、十字キー(それか左スティック)との組み合わせで種類が変わるというメカニクスになっています。たとえば左右を押しながらだと正面を攻撃、上を押しながらだとアッパーというふうになっています。 攻撃の種類は通常攻撃とスマッシュそしてスペシャルがあります。スペシャルは強力ですが、使用するためには Linseed という種が必要です。 Linseedは 敵を倒すか、まれに見つかる大きな瓶から入手できます。スマッシュとスペシャルも十字キーとの組み合わせで攻撃の種類と方向が変わります。 また、Phial という小瓶を装備してパッシブスキルを1つ付与することができます。スキルは初期HPが増えるものやスマッシュのダメージを増やすものなどがあります。 Phial は各ステージで入手できる Drop と交換で購入できます。

ゲームプレイですが、プレイ時間は10~12時間ほどだと思います。アクションが得意なら8時間ほどでクリアできるかもしれないです。 トレイラーを見るといわゆる "Beat 'em up" と呼ばれるゲームプレイに思えるかもしれないですが、実際の調整としては、ジャンプアクションも含めてある程度操作の腕前が必要なものになっています。また、スマッシュの出の遅さや一部のスペシャルに無敵時間がないこと、そして攻撃をキャンセルしての回避ができないなどが理由で、ただボタンを連打するだけではなく立ち回りが重要な場面も多いです。 しかし一度その感覚を掴んでしまえば、気持ちよく進めることができるようになると思います。プレイ時間の都合もあるとは思いますが、クリアすることだけを目指すのではなく、いかに華麗にタコ殴るかといったスタイルで挑んだほうがいいかもしれません。そうすればストーリークリア後のやり込みにもつながると思います。

ステージは6つの各地域によって特徴づけられていて多彩です。そして、自然が豊かな地域を過ぎるとインフラの整備された工業地帯になるなど、Globule の家から離れるにつれ、人の手による建築物などの風景に変わっていきます。 マップのデザインについても単に右へと進んでいくものだけでなく、あちこち駆けまわって位置関係に迷ってしまうようなアクションアドベンチャーっぽいものや、迫りくる闇から逃げる強制スピードラン的なもの、さらにはアリーナ形式の乱闘ものまであり、プレイヤーを飽きさせません。 しかしそこまで作りこんでおきながら、水に潜ると突然出現する潜水艇。まあゲームだしそれでいいじゃないかというその開き直りは、逆にこのゲームを魅力的なものにしています。その潜水艇もちゃんとグローブ型です。

音楽も素敵です。 サウンドトラックは40曲。アレンジも多いですが、それでも熱量みたいなものは十分に感じることができます。 エレキやシンセティックなサウンドだけでなく、アコースティックによるアンサンブルも多いです。そして、3拍子や5拍子といった変拍子や、変拍子なのか転拍子なのか私にはとても理解できないようなものまであります。 各地域にはそれぞれ元となる曲があって、各ステージにはその曲のアレンジが3曲ずつ用意されています。アコースティックギターとドラムに合わせてまったりタコ殴ったあと、ダウンテンポの Cool jazz でゆったりタコ殴り、そして唐突に始まるアコースティックな Breakbeat に急かされジャンプアクションを頑張る。 管楽による壮大なアンサンブルに進め戦えと鼓舞され「そうか、分かった」とタコ殴っていたけれど、5拍子の曲のブレイクダウンのドラムソロに心奪われ操作の手を休める。 そしてやはり唐突に始まる「Blasting Battlefield [Theme Air]」。これ。この曲。気持ちよく歪んだギターのパワーコードのリフとメロディ、アップテンポでドラマティック。これは私が好きな曲の1つで、Blasting Battlefield の2つ目のステージの途中と5つ目のステージで流れます。 他にも、激しいエレクトロニック・サウンドにチェンバロっぽいサウンドを乗せた物悲しい曲や、緊張感を煽る最後の地域の曲など、しっかりと楽しませてくれます。 それらの曲は好き放題に楽しんで作られたような感じがありながら、それでいて音楽が物語のプロットを担っているかのようにも思えてきます。 私が一番好きな曲はワールドマップの曲で、曲名はそのまま「World Map」。この曲はテーマ曲のアレンジですが、少し調子が外れたようなアコースティックギターのサウンドはすごく愉快です。ゲームの終盤くらいになるとアクションが難しくなってくるのですが、ステージをクリアしたあとでこの曲を聴くと、ゲームプレイの大変さとか忘れるくらい和みます。

やり込み要素としてハートのかけら集めと「Vanitas」というステージへの挑戦があります。 各ステージにはハートのかけらが5つあって、各地域でそれをすべて集めると、それぞれの地域でVanitas というステージがアンロックされます。 Vanitas は難しいジャンプアクションのステージで、クリアするごとにお店で新たなUIのデザインを購入可能になります。 ハートのかけらは見つけにくいものも多くて時間もかかります。私の場合は Vanitas のクリアも含めてトータルのプレイ時間は16時間でした。

すべての Vanitas をクリアすると Globule の家の地下に行けるようになります。 Globule の家には、ワールドマップでポーズメニューを開き「Go back home」を選べば行けます。家に戻ったら白い扉の前で上キーを押し続けて中に入り、右奥にある扉から庭に行き、そこにある像を殴ると像が移動するので、像のあった場所から落ちれば地下に行けます。 この地下についてはどういった意味があるのかは分かりません。 お店にはパスワードを入力しないとアンロックされない商品があります。Steamの掲示板によれば、Demo版のエンディングで流れるトレイラーの最後でパスワードが分かるらしいのですが、私には一体どこにパスワードが示されているのか分からなかったです。 同じくSteamの掲示板でパスワードを教えてくれているユーザーがいたので、それを見ました。 Steam掲示板「Serge's password」

Decline's Drops。 このゲームは、どことなく物悲しさも漂っています。黄色のワンピースと幅の広いブリムの帽子、そこに青いグローブというギャップによる不思議な可愛さは、やがて無機質になっていく風景や淀んで禍々しくなっていく雰囲気によって、謎めいた印象に変わります。 そして Globule は人形であるということ、一人で庭の植物の世話をしているということを思い出したとき、タコ殴る彼女の姿に対して、どこか儚くて脆くて寂しい、そんな思いを抱くようになりました。 だからこそ感じる愛しさ。Globule の不思議な魅力。