二ノ国II レヴァナントキングダム
- PlayStation 4
- 2018年3月23日
あまりにもそのゲームが楽しすぎて、クリア後に "記憶を消してやり直したい" と思うゲームもあるのですが、二ノ国II は "RPGの記憶を消してプレイしたい" と思うゲームでした。このゲームが初めてプレイしたRPGであったならと思いました。 国を発展させ、国を中心に飛び回る。悪いやつを倒すために旅をするのではなく、問題を解決し国と国の良い関係を築き、新たな問題が発生すれば国に戻って話しをする。その過程でバトルや探索をすることになります。それなのに、冒険した感じをしっかりと体験させてくれるという不思議なゲームでした。
前作とストーリーに繋がりはないので、ニンテンドーDSの「二ノ国 漆黒の魔道士」を未プレイでも大丈夫です。PS3版の「二ノ国 白き聖灰の女王」は未プレイなので分からないのですが、PS3版はDS版でラスボスを倒したあとの話が追加されているようです。なので二ノ国II のストーリー自体はDS版とPS3版の両方未プレイでも大丈夫だと思います。
二ノ国II はストーリーとバトルでゲームを進めるだけではなく、城下町を発展させることを楽しむという体験になります。 施設を作り、スカウトしたキャラクターたちを配置して色々な研究をしてもらいます。畑や牧場などを作って素材を入手できるようにもなります。 バトルにそれほど興味がない場合は、ある程度でもいいので、この発展を楽しめるかどうかで違ってくると思います。 バトルが楽しければいいという場合、特にハックアンドスラッシュなプレイスタイルが好きなプレイヤーは、モンスターを倒したときのドロップをランクの高いものにできる研究は進めておいたほうがいいと思います。
二ノ国のゴロネール王国の王が亡くなり、その子供であるエバンが王になりました。しかし、ある儀式が行われる日にクーデターが起こり、エバンは命を狙われます。そして、一ノ国のロウランという人物が現れエバンを助けます。 一緒に王国を脱出したエバンとロウランは、クーデターの裏にはハムナルという人物がいて二ノ国全体を巻き込む危険な何かを企んでいると気付きます。 エバンはロウランと一緒に自分たちの国を建て、各国の協力を得てハムナルの企みを阻止するため戦うことになります。 これが二ノ国II のストーリーです。悪いやつを倒すための旅をするとか、あてもなく冒険をしているうちに巻き込まれるとかではなく、国を建て、人を集め、役割を決め、他の国の協力を得て二ノ国の平和を目指す。そのために、色々なところへ向かうことになります。 RPGで体験することが多い宿無しな感じとか、あそこからここに来て次はあっちに行くというストレートな感じとかではなく、自分たちの国を中心に "四方八方に飛び回る" という体験になります。
ストーリーを進めるうえで強制的に国に戻されることも多いです。下手すると探索の没入感を失ってしまう可能性があるのですが、不思議と冒険してる感を維持できます。人を集めるために色々な場所へ向かったり、他の国へ向かっている途中で洞窟とかを見つけたけどモンスターのレベルを見てそっと引き返したり。 町の発展の要素がバトルなどにも影響するのですが、凄く丁寧に調整されているように感じます。要素が弱すぎると無視されてしまうし、強すぎるとRPGな感じを妨害してしまいます。人を集め問題を解決し国を発展させていくという体験をさせつつ、冒険しているという感じも確実に体験させてくれます。
RPGをプレイしていると「この町が好き」みたいな感じで、アイテムを買ったり売ったりするときに何故かいつも利用する町があったりします。ゲームを止めるときは必ずこの町に行ってから止めるなんてこともあります。二ノ国II は自分たちの国が一番好きな町になります。 施設を建てるためのお金貯まったかなとか、あの研究もう終わってるかなとか、色々と気にしているうちに自然と自分たちの国に愛着が湧いてきます。 ゲームを終えるときは自分たちの国で終わり、ゲームを始めるときは自分たちの国から始める。そしてクエストの情報やマップを見て行き先を決める。 「やっぱり素材とかも欲しいよね」と思うけど、人手が足りなくて明らかに戦士タイプのキャラクターを畑や牧場に配置しているときに、新たにスカウトしたキャラクターが畑や農園などに強かったときは喜んで配置を頑張ってしまいます。
ゲームプレイですが、プレイ時間はプレイスタイルで大きく変わります。ストーリー優先で進めていく感じなら40時間ほどでクリアはできると思います。探索や町の発展などをじっくり楽しむと60~80時間くらいになると思います。 「キングダムモード」による城下町の発展、「進軍バトル」による部隊を率いての集団戦、「無限迷宮」という自動生成ダンジョン、「魔瘴気モンスター」という強いモンスターの討伐、「フニャ」というバトルでサポートをしてくれるキャラクターの育成などなど。公式サイトに詳しく紹介されているので見てみるのもいいと思います。かなり充実した紹介です。 本当に色々な要素が詰まっていて、いい意味で迷ってしまいます。全部を楽しまないとクリアが難しいということはないのですが、どれもミニゲーム的なものではなくしっかりしているので、探索好きもバトル好きも、フニャのような謎だけど可愛いキャラクター好きも没入できるようになっています。 モンスターを倒すと装備などのアイテムをポコポコ落とすので、必要ない装備は売ってしまうのがいいと思います。バトルの攻略などにこだわらないのであれば、迷ったら売るくらいでいいと思います。本当にたくさん手に入ります。
キングダムモードでの城下町の発展はストーリーを進めるためにある程度は必要になります。そのため、興味がなくても必ず体験することになりますが、自分の場合はストーリーそっちのけでハマってしまいました。 国民による資金と素材の獲得はプレイ時間で貯まっていきます。一旦貯め込んでおけるBOXがあるのですが数に上限があります。上限を超えると何時間プレイしても増えないので受け取ってBOXを空にする必要があります。 この一旦溜め込んでおくBOXシステムがあるために、どうにもこうにも気になって国に戻ることになります。上手い仕組みです。自分のような生真面目なプレイヤーにとっては精神的な負担にすらなり得ます。あまりにも夢中で考えすぎてストラテジーの沼に足を踏み入れてしまうところでした。 施設を作って行う「研究」は、装備の開発や魔法の習得などの他に、モンスターを倒したあとに得られる装備をより良いものにするといったものもあります。バトル好きなプレイヤーには直接に影響がある要素です。
進軍バトルは可愛いです。敵も味方も可愛いです。サブクエストでの発生が中心になりますが、ストーリーを進めるための進軍バトルも何度か発生します。 初めはよく分からなくても、あれこれやっているうちに理解できて楽しくなります。剣はハンマーに強く、ハンマーは槍に強く、槍は剣に強いという特徴があります。 それほど難しくはなくて、たくさんのキャラクターがポコポコと殴り合っているのを楽しむという感じです。必殺技みたいなものもあります。 町を発展させれば資金が増えて進軍バトルの研究も進むので、戦闘開始時に金に物を言わせて強化してサクサク進めることもできます。 ただ、各部隊にはレベルがあって敵部隊を倒していくと上がるのですが、ストーリーを進めるだけでは全く上がりません。進軍バトルのサブクエストとかがあっても、味方Lv15くらいのときに敵Lv30とか差がありすぎることが多くて悩んでしまいました。序盤とかのサブクエストは割と簡単で負けることもなくて気付かなかったのですが、負けてもゲームの進行自体はそのままで部隊が入手した経験値もそのままです。なので、サブクエストでレベルが5~10くらい高い相手と戦って負けていれば部隊のレベルも上がっていきます。ただし、戦闘開始時に資金を使った場合、その資金は戻ってこないので、負け前提でレベル上げをするときは資金を使わないほうがいいと思います。 ストーリーを進めるためには、最終的にLv25くらいまでは上げたほうがいいと思います。
無限迷宮は自動生成のダンジョンで、挑戦するたびにマップとかが変わり、迷宮内だけで手に入る「キーオーブ」を使って開けることができる宝箱が出現します。 迷宮内では時間が経過すると「デンジャーレベル」というものが上がっていきます。デンジャーが上がるとモンスターのレベルが上がってしまいます。デンジャーを下げることもできるのですが大事なキーオーブを「癒しの像」に捧げなくてはいけません。宝箱というロマン。良い装備を入手できることもあるので余計に悩みます。探索しすぎると時間もかかってしまうので緊張感があります。 ダンジョンごとに適正レベルが決まっていて入手できるアイテムも適正レベルに合わせてあるので、キャラクターのレベルに対して低すぎるレベルのダンジョンだとがっかりすると思います。 また、デンジャーレベルが上がるのを遅くするなどの研究もあるので、それらの研究を進めれば結構サクサクとクリアできます。9つの無限迷宮をクリアするというサブクエストがあるので、興味はないけど制覇したいという感じのプレイヤーは迷宮の研究を進めるといいかなと思います。 時間の経過でモンスターのレベルが上がるという仕組みを利用して、わざとレベルを上げてから進めれば、"オレより強いやつと戦いたい" という楽しみかたもできます。
魔瘴気モンスターは非常に強くて大きいモンスターで、一撃喰らったら倒れてしまうということもあります。 装備にもよりますが、難易度ノーマルで相手のレベルに対して同じレベルか+3程度、ハードだと+5~+10くらいの差でもいいくらいです。アクションが苦手なら難易度ノーマルでも+10くらい高いほうがいいかもしれないです。 DPSを考えるといったハクスラなプレイスタイルに慣れているのであれば短時間で倒せるのかもしれないですが、基本的には5~10分くらいかかるという意識で挑戦するのがいいと思います。
フニャはバトルでサポートをしてくれて必殺技もあるのですが、プレイヤーにとって全くデメリットがないという素晴らしい存在です。リボンを付けていたり頭に剣が刺さっていたりと見た目に違いもあります。洞窟などにあるフニャ地蔵にお供えをして仲間にすることもできるし、城下町にフニャの施設を作って新しく生みだすこともできます。 バトルには4匹まで参加させることができます。放置していれば勝手に動いてくれますが、特定のタイミングで「号令」を出せば必殺技を使ってくれます。 凄くたくさんのフニャがいるので、面倒なら細かいことを考えずに好きなフニャで楽しむのがいいと思います。帽子をかぶっているなど4匹の見た目を揃えるのも面白いです。
バトルはアクションの要素が強いのですが、"攻撃のモーションをキャンセルして回避できない" という点に注意が必要です。剣を振ったなら振り終わるのを待たないと回避はできません。これは防御も同じです。そのため、こちらが攻撃をした直後に相手が攻撃をしてきたときには回避も防御もできません。特に魔法の場合だと攻撃後のいわゆる "硬直" もキャンセルできないので何もできずに相手にタコ殴られます。 これだけなら操作の腕前を上げれば何とかなるのですが、ザコ戦は乱戦が基本で、6体とか相手になります。それら全てのモンスターの動きを見て操作するのは不可能です。しかもスキルや魔法のエフェクトに隠れて見えなくなってしまうこともあります。武器攻撃中にやられて魔法攻撃中にやられてという感じで、ことあるごとに倒れてしまいます。そのため、腕前よりもキャラクターのレベルや装備というRPGらしい感じでプレイしたほうが気持ちよく戦えると思います。 装備にもよりますが、アクションなバトルに慣れているのであれば敵レベルと同じか-3レベルくらいでも大丈夫だと思います。中盤を過ぎて装備も充実してくると、敵レベルに対して-10レベルくらいでも大丈夫だったりします。 もし難しいと感じるのであれば、敵レベルに対して+3程度までレベルを上げれば大丈夫だと思います。+6あればサクサク倒せます。やりすぎるとボタン連打するだけになってしまう可能性もありますが、単純に操作感やエフェクトの綺麗さを楽しめると思います。バトルは仲間に任せてフニャを眺めるのも楽しいです。
素材などのアイテムはそれぞれ100個以上持てます。50個が上限とかだと、発展させて入手できてもすぐに一杯になるし使いまくるには少なすぎるので、結局は使い道を考えるのが面倒で放置してしまうなんてことがあるのですが、頑張れば100個とか200個とかも余裕なので気にせず溜めてあとで一気に使うとかできます。 プレイしたことのあるRPGはそれほど多くないので断言できないのが悲しいですが、個人的には、二ノ国II のRPGとストラテジーな要素のバランスは新鮮で素晴らしいと思えました。
あるゲームをプレイしているとき、先を予想してしまうことがあります。プレイしたことのあるゲームが多いほど予想は的確になります。その予想が次第に予定になり計画になり、極端な効率重視などの自分で自分を縛りつけている状態に気付かないこともあります。 次に行くエリアはあっちだからその方面のクエストをついでにこなしていこう、そうすると別の場所に行けるようになるから次のエリアに行く前にあっちを終わらせておこう、それで良い装備が入手できるから別に今は買わなくてもいいよね、それがあればHP回復の必要も減るから回復アイテム買わなくていいよね。そうやってプレイしているうちに使わないアイテムが増えていき、淡々とクエストなどをこなしていく作業が始まります。 そして上手くいかないと「これシステムおかしいんじゃないか」と苛立ちを覚えることもあります。その上手くいかないものを上手くいくように用意された仕組みがあっても、自分の立てた予定に縛られ気付くこともなく進めていきます。"キャラクターのレベルを上げてお金を貯めて強い装備を入手する" という単純なことさえ忘れてしまいます。
先を予想し、下手すると精神的に疲れてしまうプレイに慣れきっていた自分が「二ノ国II どうしようか、発売日買いは止めておこうか」と割と真剣に悩んでいたときに「A Hat in Time」が思い出させてくれた、ゲームが楽しいという単純な感覚。その感覚を思い出したとき、二ノ国II をやろうと思いました。 二ノ国II は "RPGな感じ" が詰まっています。それらはRPGが好きな人であれば慣れ親しんだものです。スタートして狭い場所から脱出して緑豊かな広い場所に出たときの開放感、川の向こうにあって行けない洞窟、開けられない宝箱、遠くに見える明らかに強いと分かるドラゴン。行けない場所はいつか行けるようになり、宝箱はいつか開けられるときがくる。探索には危険がつきものであり、ドラゴンが今はその危険を冒すときではないと教えてくれる。 それはいつだっていいし、忘れてしまったっていい。もちろん、効率的な進め方が楽しいのなら計画を立てて進めればいい。仕組みを理解するのが楽しいのなら攻略すればいい。そのとき楽しいと思うことをやっていればいい。疲れたなら別のことをやればいい。 それを思い出してプレイした結果、「そんなに素材必要ないだろ」というくらいに城下町を発展させたり、「その部隊は別に使わないよね」という部隊を進軍バトルで使って戦ったり、「いつまで愛憎劇のフライパン使ってんだよ、もう弱いだろ」と自分の馬鹿さにあきれたり、素直に楽しい時間を過ごしてしまいました。
そんなこんなで「二ノ国II レヴァナントキングダム」。1つ1つを見ると特に新しいものではないと感じますが、プレイ体験を全体で見ると、国を発展させることで目的の達成を目指したのに凄く冒険した感じがあるという不思議さでした。 ニンテンドーDS「二ノ国 漆黒の魔道士」をプレイしたときはマジックマスターという本が常に手元に置いてありました。スーパーファミコンとかの時代に、読みすぎてボロボロになった説明書が常に手元にあったという感覚を思い出し、初心に帰ってプレイできました。 そして、二ノ国II は初心に帰ってプレイするのではなく、本当に初心でプレイしたかったと思えたゲームでした。 キャラクターのスカウトで自分が最後に残しておいたクエストは、何度も国に戦闘をしかけてくる山賊王との最後の進軍バトルでした。たぶんスカウトすることになるんだろうなと思って残しておきました。このクエストを終わらせたとき、城下町の発展が終わり、自分にとっての二ノ国II が終わるんだと、何故かそう思いました。