ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド
マスターモード

  • Nintendo Switch/Wii U
  • 2017年6月30日

マスターモードは「エキスパンション・パス」を購入するとプレイできるDLCです。 通常モードとの大きな違いは、配置されている魔物の強さ、魔物のHP回復の2つかなと思います。 それだけなのですが、通常モードとはゲームのジャンルが変わってしまうくらいの違いがあります。 スカイウォードソードの辛口モードをイメージするかと思いますが、ブレス オブ ザ ワイルドの仕組みを利用したより難しいものになっています。特に、武器が壊れるという仕組みに悩まされることになります。

とにかく魔物倒すこと、ボコブリン相手でも全力で考え全力で作戦を練る、ストラテジー・アドベンチャーとかRPG・アドベンチャーとか呼べるくらいの感覚にもなります。 クリアまでの時間はプレイスタイルによって大きく変わりますが、初見でマスターモードをプレイする場合は80~120時間くらいの覚悟は必要かなと思います。アクションなバトルに自身がある場合でも時間はかかると思います。探索も十分に楽しもうと思うと180時間は越えると思います。

通常モードは、持って投げて壊して登って飛んで泳いで集めて食べて、とにかくハイラルの世界に触れるという体験ができるアクション・アドベンチャーです。もちろんバトルもありますが、ゲームの世界を探索して冒険することが中心になります。探索することが目的となるような体験です。 マスターモードは、そのゲームジャンルが変わってしまう感じです。 とにかくバトル。プレイしていて感じるのは、 "魔物を倒す" ということに意識が向かうという自分のプレイスタイルの変化です。 探索ではなくバトルに意識が向かうので、武器を集めるのも素材を集めるのも、魔物を倒すという目的を達成する手段に思えてきます。

通常モードだと「あ、魔物いっぱいいる、とりあえず戦おう」って感じでダメだったら逃げて探索を続けます。マスターモードは「あの魔物の群れを倒す」って感じで戦うか戦わないかは初めに決めておく必要があります。倒せるか倒せないかを考えて、無理だと思ったら武器を管理して料理を作って服を強化してから挑みます。 結果は同じです。強い武器を持ち防御力が上がりHPが増えます。でも目的が違うので過程とかの中身が変わります。

通常モードは探索を続けることでリンクを強くすることができます。探索の仕方によって "リンクの強さ" が変わります。静かに動けるかもしれないし、ガンバリが強いかもしれないし、防御力が高いかもしれない。リンクがどう強いのかはプレイヤーの探索に対する興味によって変わります。 マスターモードはリンクを強くするために探索をします。リンクをどうやって強くするかで "探索の仕方" が変わります。攻撃力を上げたい場合に、ツルギゴイやツルギダイを捕まえに川と海に出かけるかもしれないし、攻撃力アップ効果のある装備を手に入れるために馬で大移動しローメイ巡りをするかもしれない。攻撃力ではなく防御力を優先し大妖精巡りをして、攻撃力はハイラル城で強い武器を集めて解決するかもしれません。どう探索するのかはプレイヤーのリンクをどうやって強くするかという考えによって変わります。

マスターモードでは、戦わないときは一切手出しはしないけど戦うときは必ず倒す、という感じになります。その理由が魔物のHP回復です。 ダメージを与えても攻撃の手を休めるとモリモリ回復していきます。バトル中に普通に回復します。半分まで減っていたHPが回復していくのを見て絶望に近い感覚を味わいます。 回復されては減らし回復されては減らしを続け、武器が壊れ盾が壊れ矢がなくなり料理も食い尽くす。魔物も倒せず、これまでの探索の成果を失う。逃げたあとで空っぽになったポーチを確認します。 「……」 そして、ニャハハッ、とコログの笑い声が頭に響き、DLC「コログのお面」を探しに行きます。 「ポーチをね、コログ集めてね、全部武器、他いらない、うん」と脳筋まっしぐらです。 そして基本に立ち返ります。 「まずね、夜にね、武器を盗んでね、そのままふいうちでね、うん、基本だね」 それでも一撃で倒せず見つかって逆に一撃死でゲームオーバーします。 「……」 そして探索の仕方を思い描き動き出します。 「攻撃力だね、うん、ツルギゴイ、川。それと服強化、カカリコの大妖精」 川や湖があると目を凝らして魚がいないかを確認し、シーカーストーンに探し物をセットできればと考え、カカリコとハテノを目指します。 キースやスタルボコブリンなどの処理で壊れていく大事な武器。通常モードでは使うこともなかったマスターソードへの憧れ。 「ハート13個だよね、祠40ヶ所だね、ハート全振り、ガンバリなんていらないよね」と脳筋確定します。草を刈ってバッタ集めてガンバリ薬を作って祠巡りを始めます。

ゲームプレイですが中盤くらいまでは凄くツライです。どこまでが中盤かって感じですが。 武器が壊れてなくなっていくので管理する必要があります。そんなの当たり前でしょ、と思ったりしますが、HP240の黒ボコブリンとかが普通にいるので、攻撃力4のボコこん棒とか屁の突っ張りにもなりません。兵士の剣とかでも同じです。攻撃力20未満の武器だと1体倒すたびに壊れるというイメージで、騎士の剣や竜骨ボコこん棒などの攻撃力20以上の武器が主力になります。特に竜骨ボコシリーズは本当に重宝します。 竜骨ボコこん棒とかは温存したいので、チュチュやキースなどは木の枝などの弱い武器やバクダンで倒したりします。

とにかく武器が足りなくて、通常モードでは宝箱を開けたときにポーチが一杯だったら何かを捨てて手に入れてましたが、マスターモードではマップに印を付けておいて武器足りなくなったら回収、さらにコログのうちわを常備してボコブリンを川に落として武器回収とかやってました。 でも常にそんな感じではストレスも凄いので、DLC「ムジュラの仮面」を手に入れるのがいいかなと思います。ムジュラの仮面はボコブリンマスクなどの最上位の性能で、ムジュラの仮面ひとつで魔物から攻撃をされなくなります。ガーディアンやイワロック系には効果がないのですが、序盤での入手が可能で武器の回収にも使えてステキです。

通常モードでは、克服の証はガンバリの器に、料理は防御力が上がるものを食べる、というのが普通でしたが、マスターモードではハートの器を手に入れ料理は攻撃力を上げるものというのが普通でした。攻撃力を上げておけば攻撃回数を減らせるので武器も長く使えます。最短でマスターソードを手に入れたいというのも大きいのですが、うっかり攻撃を喰らっても一撃は耐える程度のHPを確保する必要もあります。 バトルは基本的にノーダメージで一撃喰らったらゲームオーバーという感覚なので妖精も大事です。ハート5個しか回復しないのですが、防具の防御力が低いうちは5個でも8個でも10個でも同じです。

とにかくリンクを強くしたい。それがマスターモードのプレイ体験でした。RPGに近い感覚です。 通常モードだとリンクの強化などはゲームを楽しむ要素の1つという感じでした。服を強くするのも探索を頑張ったご褒美みたいな感覚で、「強くなりすぎた」なんて思うこともありましたが、マスターモードだと「まだ足りない、もっと」という感じになります。 ハートを増やしたり服の強化をしたりすると嬉しくて仕方がありません。ボコブリンの攻撃を喰らっても一撃死しなくなったときの安心感。 川や湖にツルギゴイがいるかどうかの確認も面倒になってきて、「ハテノ村に行きたい、探し物にセットしたい、チュチュをバクダン1発で倒したい」と先を急ぐようになります。 チュチュは大きいヤツが基本になるのでバクダンを強化しないと1発で倒せません。しかも、それが大チュチュではなく中チュチュで、もっとデカイ本当の大チュチュを見たときは「デカっ!!!」と叫んでしまうと思います。

武器の管理を常に行い、服を強化するために必要なお金と素材を把握し、先を考えてプレイする。中盤くらいまではそんな感じでストラテジーのようです。ゼルダでそんなプレイ体験をするとは思いませんでした。 通常モードだと常に行き当たりばったりでした。そこが凄く楽しくて装備も気分によって変えたりして楽しんでました。でもマスターモードだと、戦うなら覚悟決めて戦うし戦わないなら徹底して無視する、必要のない探索は減らして時間節約、便利なアイテムは最大限活用する、という感じになりました。 防具は、探索時が忍びシリーズにコログのお面、バトルではハイリア兵シリーズが基本でした。防具の強化もハイリア兵シリーズを最優先し他は後回しか未強化で済ますと時間短縮になると思います。最終的には蛮族シリーズになると思います。

壊れていく武器を見るたびに思う、マスターソード。まさにゼルダ。 そう、どこまでが中盤なのかという答えは "マスターソードを手に入れて剣の試練を極位までクリアして攻撃力を60にするまで" だと思います。これが実現すれば、武器がなくなったらマスターソード→マスターソード壊れたら拾った武器、というサイクルが出来上がります。この完璧なプランを実現するまでが中盤だと思います。 しかし、プランは実現しなければ夢。"マスターモードでの剣の試練" という壁にぶつかります。

DLC「剣の試練」をクリアするとマスターソードの攻撃力が上がります。でもマスターモードでプレイ中の剣の試練は、出てくる魔物もマスターモード仕様になります。武器制限、防具制限、セーブ不可に加えて魔物HP回復。サイハテノ島でもキツかったのですが剣の試練はヤバイです。 序位・中位・極位と3段階あるのですが、挑戦していると「もうやりたくない」と思います。攻略方法を見つけると意外と簡単にクリアできるのですが、その攻略方法を見つけるまでがリトライの繰り返しで精神的にヤバくなってきます。自分の場合は何とか攻略情報などは見ずにクリアできましたが10時間以上はかかりました。ストレスが強くなったらプレイ動画などを参考にしてしまったほうがいいと思います。見とけば良かったってあとで思いました。本当に厳しいです。

とても厳しいマスターモードですが、クリア後の開放感が凄いです。「ああ、もう何も考えなくていいんだ」と魔物の群れに突っ込んだりライネルと戦って武器壊しまくってました。剣の試練で最大まで強化したマスターソードは本当に楽しいです。 マスターモードは通常モードとは違い、ユーザーのプレイスタイルによってはストレスを感じるばかりで楽しめないという結果になるかもしれません。その理由は全てバトルの厳しさです。探索の仕方によっては中盤を過ぎた辺りから武器も余ってくるようになり防具の強化も進みますが、それまでが厳しすぎます。 バトル苦手、アクション苦手というプレイヤーは探索の部分しか楽しめない可能性があり、そうなると通常モードのほうが楽しいと感じます。逆に、先を考えゲームの仕組みなどを把握し、ストレスを感じるくらいが丁度いいというスタイルのプレイヤーは通常モードよりも楽しむことができると思います。「これ、ゼルダだよね?」と良い意味で疑問を感じるかもしれません。

2017年12月8日にDLC「英傑たちの詩」が配信されました。これもマスターモードでクリアしました。クリアすると各英傑たちにもらったスキルが強化されるのですが、凄い効果です。再使用できるようになるまでの時間が短縮されるのですが、リーバルトルネードとかは使い放題な感じになります。このDLCが配信されてからマスターモードをプレイすれば良かったなと思いました。